※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

別れたいわけじゃなかった

同級生同士、いつも一緒にいて、仲のいい友達で、
そういう関係になってからも友達同士の延長みたいな、
同性ってことで人から連想されがちなドロドロしたことなんて
おれたちにはほとんどなかった。
学校行って、卒業してからは仕事に行って、アパートに帰って、
テレビ見て、たまには夕飯作って食ったり。
そんで風呂入って、盛り上がればエッチして、寝る。
その繰り返し。平凡で幸福なぬるま湯生活。
なにも言わなくてもお互いの気持ちがわかったし、
わかってることもお互いわかってた。
一生愛し続けるだの浮気したら殺すだの
まわりまで巻き込んで大騒ぎしてるカップルよりも
おれたちの方が幸せだって信じてた。実際その通りだったかもしれないのに。


あいつの帰りが遅くなったり
休日に一緒にいられないことが多くなったり。
おれはすぐに気づいた。
部屋で一人テレビを見ながら、おれはテーブルにマジックで
きゅきゅきゅ、と書いた。

「浮気すんなよばーか。出てくからな。バイバイ」

それから、適当に服を鞄に詰めて、ほかの友達の部屋に
転がり込んだ。

何度も電話があって、メールが来て、でもなんだか
気恥ずかしいのと事情を説明されるのが怖くて、
おれはとうとうそれからあいつに一度も会うことがなかった。
新しい恋人もできて、おれはあいつのことを忘れた。ほとんど。


「お前のこと愛してる。一生愛してるって誓う」
「おれも。…もし、おれが浮気したらどうする?」
「お前を殺して俺も死ぬ」
「嬉しいな」
「なあ、前の恋人ってなんで別れたん?喧嘩でもしたん?」
「…別れたいわけじゃなかった」

なぜか涙が頬をつたった。