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職員トイレで

『先生! エッチしてください!』

朝、職員専用トイレに入ったら、トイレのドアに赤いスプレーで、デカデカとそんな
稚拙な落書きがされていた。
県内でも最低ランクの高校で、しかも男子高校ときたら、こんなイタズラも日常茶飯事だ。
本日の職員朝礼でも、その件に関して、一切触れられることはなかった。
俺だって、あのメッセージを深刻にとらえていたわけではない。
だいたい、「先生!」と呼びかけられる人間なんて、うちの学校だけで50人を越えている。
中高一貫教育であることを考えると、さらに対象者は倍だ。
イタズラした犯人も、できれば対象者をしぼってくれれば、非常事態に対処できるのに。

そして俺は今、そんな不親切な犯人のせいか、トイレの個室に押し込まれて、男の手によって
服を脱がされようとしている。

「ちょ…っ、先生、何考えてるんですか」
「何考えてるって…田中先生と、ナニすることだけど?」
首筋に、わざと音をたてて、唇を落とす。そして、歯をたてる。
慣れた手管に、俺は、腰がざわめくのを感じるが、必死で先生を押し留めようと、理性を
総動員して、腕をつっぱった。
「あきません! ここは、学校! しかも、トイレやないですか!」
あー、さっきので、首筋にキスマークついたかな、と、頭の冷静な部分が考える。
先生は、そんな俺の抵抗も、じゃれているようにしか感じないらしく、ニヤニヤしながら
楽しんでいる。あー、アホみたいじゃないか、俺が。
「田中先生、その言い方だと、学校のトイレじゃなきゃいい、って言ってるようにしか
 聞こえませんよ?」
「おっさんみたいなこと、言わんでください!」
少しでも、先生と距離をとるために、足で蹴ろうとすると、あっさりと足首をつかまれた。
俺、細身だけど、けっこう腕っ節が強いので通っているのに。
でかい図体して、無駄な力ばっかり余らせやがって。このバカ体育教師! 先輩だからって、
いい気になって!
「いいですか、田中先生。俺達は、今朝方、このトイレに書かれた生徒の願いを、消すために
 トイレに二人でいるわけです」
先生は、俺の耳に唇をあて、わざとらしい説明口調を、低い声でささやきだした。
あ、やめて。その声。力抜けるから。
「だから…こんなことせずに、はよ、掃除しましょ、って…」
「しかし、この落書きは、生徒の願いでしょう」
俺は、せまいトイレで、頭より高く足をあげられたため、体全体を腕でささえるような体勢になった。
先生は、抵抗できなくなった俺の、足首に左手の指をはわせつつ、俺の胸のボタンを、右手一つで
器用にはずしていく。
「願い…?」
「『エッチしてください!』なんて、かわいい生徒の願いを、叶えずに消すだけの教師なんて、
 教師のかざかみにも置けない。願いを叶えてからでも遅くはないはずです」
「こ…『ここで、エッチしてみせてください!』っていう意味ではないですよ、先生…っ!」
「僕と田中先生の、解釈の違いってヤツかな」
先生は、とうとう俺のシャツのボタン、全てをはずしてしまった。
「まぁ、なるべく音たてないでくれたら、それでいいんで。よろしくお願いしますよ、先生」
俺は、おおいかぶさってくる先生の体に、もう抗うことができなくなっていた。
体温におぼれないように、左手を苦労して、口元に持っていき、声が出ないように噛む。
「ちゃっちゃっと済ませましょう。ね?」



全てが終わって1時間後に、職員トイレの落書きは、先生が一人で消してくれた。
だけど、次の日、職員会議では、職員トイレの新たなる問題が、議題にあがっていた。
「職員トイレに、コンドームが数個、捨ててありました。生徒が忍び込んで、不純な行為を
 していた形跡です。休み時間、昼休み、放課後など、こまめに巡回をするよう、お願い
 いたします」
俺は、隣に座る先生の顔を盗み見た。先生も、俺の方を見ていた。
俺達、1回しかやっていない…よな。しかも、ゴム、持ち帰ったよな…。
ということは、あの落書きは、成就されたのか。もしかして。それとも…?
ふと教頭先生を見ると、先生の顔が、少し赤く見えた。気のせい…か…?