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「なんでラブ定額なの?」

雪道で滑って転んで、ジーパンのケツポケットに入れていた携帯の液晶
を割ってしまった。大分古い型だったことと俺の誕生日が近いってのも
あって、すぐさま沢村に新しい携帯を買ってもらえることになった。
「どうせなら、新規契約にしたら?俺のと同じにしなよ」
「うーん、別に良いけど…沢村って何処のだっけ?」
「棒ダフォン」
そうだっけ、と思いながら駅前の携帯ショップへと歩みを進める。雪が
解けた道は歩きやすくなっていて、転んだ時の事が思い出された。あの
時、沢村が一緒にいれば転んで携帯割る事なんてなかったのにな。絶対、
滑った瞬間に抱きとめてくれたりしたよ。
「っおわ!」
「あ…っぶねー!!お前雪なくても転ぶのかよ」
ほら。笑いながら受け止めてくれた。沢村のこういう所がいいんだよ…
なんて機嫌よくしていると、すれ違ったOL風のお姉さん達がこっちを
見て笑った。うわ、もしかして俺達の関係ばれた?いや、でも…!なん
かすっげー恥ずかしくなってきた!!
「でさ、料金プランも結構良いのあんのよ…」
「へ、へー」
恥ずかしくて下を向きながらも沢村の話にあわせる。
「そうだ。ついでにラブ定額にしような!安くなるし、会話もメールも
し放だ…」
「な、ななんでラブ定額なんだよ!!!!」
「え……?」
しまった。恥ずかしさのあまりの拒絶におもいっきり沢村の表情が曇る。
「え?だって…俺達ってラブっしょ?恋人っしょ?そういう関係…でしょ?」
困惑したように泣きそうな顔で沢村が聞いてくる。
「えぇ?ちげーの?そう思ってたのって俺だけ…?うわ、マジ!?」
みるみる涙がたまる沢村の目に耐え切れなくて、奴のでかい図体を近く
のコンビの裏に引きずり込んだ。
「ごめん、ごめん!俺達ラブ!!」
恥ずかしさとか、沢村を好きになった時に捨てたのを忘れてた。
何があっても一緒にいようって、胸に刻んだはずなのに、俺って奴は!!
「愛してる」
まだ泣きそうな沢村の耳元に小声で告げる。
どっかの携帯会社のCMみたいだな、なんて思いながら。