オタク眼鏡×真面目眼鏡
「お前やっぱりこの魔女っ子に似てるよね~」
にんまりと笑った、『いかにも』な眼鏡のオタク青年が見ている
テレビ画面には、キラキラとピンクやら紫やらの光に包まれて
変身真っ最中の魔法少女がアップで映っている。
「知るか」
対してオタク青年に冷たい視線を当てた、これまた『いかにも』
な眼鏡の真面目青年は、自分の眉間に縦じわが刻まれたことに
気付いていない様子。
ふたりはまだ、気付いていないが、その魔女っ子の笑顔は。
真面目青年が時たま見せる笑顔に、そっくりなのだった。
まだ、気付いていないけれど。
画面とは反対側にいる真面目な青年が、キラキラと、ちゃちな
魔法よりも、余程美しく光っていることは。
彼らはまだ気付いていない、けれど。
最終更新:2010年10月21日 20:04