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きみといつまでも

「せんぱっ……卒業おめでとうございまっ……うえええええ」
卒業式の後、派手に泣き出した後輩を前に、俺は苦笑する。
卒業するのは俺で、コイツはまだあと1年この学校に通うはずで。
なのに、あまりに大泣きするものだから、俺の方は感傷やらなにやらは全てどこかに行ってしまった。
「コラ、泣くな。どっちが卒業生だか、分からないだろ」
「だって、だってぇ」
涙を隠そうともせず、鼻水まで垂らして泣いている後輩を、俺はずっと可愛がってきた。
そして、相手も慕ってくれていたことは、現在目の前に繰り広げられている光景からすれば、疑いようもない。
「たかが卒業だ。そんなに、大したことじゃないだろ?」
「大したことですよ!! 大したことなんですよ!! だって、俺、先輩の「後輩」ってポジションしかないのに!!」
「は?」
訳の分からない内容で食って掛かられて、思わず聞き返すと、悔しそうに噛み締められた唇が目に入った。
それに、ゴシゴシと袖で乱暴に目を拭うから、目元が赤くなってしまっている。
「だってっ……同じ歳じゃないから、友達ってわけに行かないし、女の子じゃないから付き合うわけにも行かないし、俺は「後輩」以外になれないのに、先輩が卒業しちゃったらその繋がりまで無くなっちゃうじゃ無いっすかっ……」
心底辛そうに呟かれた言葉に、俺は思わず苦笑した。
「まるで、愛の告白みたいだな」
「告白すれば、先輩とずっと一緒に居られるなら、俺告白します」
むっとした様に唇を尖らせての言葉に、俺は笑って、その頭を撫でてやる。
「じゃあ、告白してもらおうか。付き合えば、ずっと一緒にいられると、そう思ってるんだろ?」
「へっ?」
本気で驚いたらしく、ずっと止まることなく流れ落ちていた涙が、ぴたりと止まった。
俺はそんな後輩の手をとって、上向きに手を開かせる。
「へ、え?」
その手のひらに、学ランの第二ボタンを千切って載せてやると、後輩はボタンと俺の顔を、首ふり人形のように見比べた。
「で、俺は、ずっとお前が好きだったことを、いつ告白すればいいんだろうな?」
「~~っ! 先輩!!」
飛びついてきた後輩の身体を、俺は笑ってしっかり受け止めた。