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共依存

ふと後ろに何か気配を感じて、振り向く前に声が上からかかってきた。
「何読んでんすか、センパイ。心理学?うわっ」
「なんで、何が、『うわ』なんだよ」
ページに目を落としたまま応えると後ろの気配が横に移動する。
ギイイと音を立てて椅子を引きずり、彼は座った。机の上で手を組んで、俺の本を覗き込む。
「いや、いかにもアンタが読みそうって思って」
「部活はどうしたよ」
「え?雨降ってるじゃないすか」
「……」
「たまには休まないと。面白いですかセンパイ、こういう本…」
言いながらさらに身体を傾けて、覗いてくる。おい、読めません。あ、君左巻きか。…。
「…」
「…君が読んでもつまらないでしょ。しかも途中から」
「…なんか、これ、アンタと滝センパイみたいっすね」
「ハア?」
「『きょういぞん』」
「…」
これ、ここ、と彼は一文を指しているらしい。うん。つむじしか見えないけどね。
「ずっと気になってました。アンタら、やっぱり、ちょっと変だし」
「…つまんないこと気にするなよ」
「つまんなくないっすよ」
俺は彼のつむじを見飽きて、図書室の窓から外を見た。細い糸のような雨が降っている。静かに。