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アリとキリギリス

ある草原に働き者のアリと歌が上手なキリギリスがいました。
キリギリスは歌は上手で姿も素晴らしいのですが、それを鼻にかけて歌ってばかり、自分の緑の綺麗な衣装を見せびらかしてばかりいました。
地味な黒い姿のアリはそんなキリギリスを横目で見ながらせっせと日々働いていました。
さて夏が過ぎ秋になり、冬の足音が近づいてきました。歌ってばかりいたキリギリスもさすがに簡単には食べ物が得られなくなり、またこれまで住んでいた居心地のいい茂みも枯れてなくなってしまいました。
困り果てたキリギリスの近くを、相変わらず働いてばかりの地味な黒いアリが通りがかりました。
「アリ君、僕に食べるものと住むところを少しばかり貸してくれないか」
地味なアリにキリギリスが声をかけたのはこれが初めてでした。
「住むところがなくなってしまっててねえ、もうすぐ冬になるだろ?君には毎晩歌を唱ってあげるからさ、僕を置いてくれないか」
「いいですよ」
アリはあっさりとそう答えました。
「そうこなくっちゃ」
「僕の家はこちらですから、どうぞ」
まったくちょろいもんだぜ、キリギリスはそう思いつつアリの後についていきました。
「さあどうぞ」
土の中は暗くて中がよく見えません。
「あ、キリギリスさんだ」
「キリギリスだ」
「キリギリスが来たぞ」
なんだかとても大勢の声がします。キリギリスは驚いて自分を連れてきたアリの方を見やります。
「全部僕の兄弟だよ」
暗がりに目が慣れてきたキリギリスの身体の四方に大勢の黒いアリが群がり始めました。
「怖がらなくてもいいよ、食いやしないから」
アリたちに取り囲まれ群がりだされ怯えた表情のキリギリスの耳にアリのこんな声が聞こえました。
「君には毎晩鳴いてもらうよ。とてもいい声で」