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幼馴染を初めて意識する瞬間

染谷はふと顔を伏せた。
長く付き合っている、だから判る。
意地っ張りで負けず嫌いの染谷は、幼い頃から俺にすら一度も泣く所を見せたことがない。
けれど今伏せる瞬間に見えた表情は、染谷が泣くのを堪えている表情だ。

プライドが高くて意地っ張りで負けず嫌いで、唯我独尊で他人に厳しく容赦ない染谷。
だけどその染谷が自分自身に一番厳しいってことを俺は知っている。

今まで何度この顔を見ただろう。
肩が震えるのすら堪えようと、拳をきつくきつく握り締めている。
歯を食いしばり地面を踏みしめて、足元を睨みつけながら歩く。
いつだって気丈に顔を上げて真っ直ぐに歩いている染谷が、顔を上げられないでいる。

今まで何度この顔を見ただろう。

けれど初めて、20年一緒にいて初めて、
俺は今、染谷を抱きしめたいと思っている。