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トーテムポール

『土産はトーテムポールでいいか?』

電話で何の前触れもなくそう言われたとき、俺は大笑いしながらも確かに断った、はずなのだが。
「なんで本当に送ってくるかなぁ…」
激しく場所をとる得体の知れない物体を眺めながら、俺は小さくため息をついた。
旅に生きる彼は、一年の半分以上を海外で過ごす。語学力も冒険心もない俺はいつも置いてけぼりだ。
ひょっとしたら英語さえも通じないような国から、彼は土産と称して訳のわからないものを送ってくる。
ギョロ目の木の人形。まじないに使うらしい仮面。時代を間違えたような石器。何かの動物の骨。
ちぐはぐなラインナップは単純に彼のセンスが悪いだけだ。理解するのに三年かかったが。
そのコレクションに、やたら背の高い置物が加わった。
あまり大きすぎるものでなくて良かった。庭しか置き場所がなかったりしたら、近所の目が痛い。
縦にいくつもならんだ動物の顔らしい彫り物を撫で、俺はもう一度ため息を吐き出す。
「こんなの貰うより、あんたの顔を見たいんだけどな」
つぶやいた言葉は、けれど彼に届くことはきっとない。
彼に側にいてほしいのは本音だが、それよりも自由に飛び回る生き生きとした彼が一番好きなので。
だから、一緒に送られてきた写真で我慢。
「あ、この顔、ちょっとあの人に似てる」
少し高め、ちょうど彼の顔と同じような位置に彫られた顔は、目を見開いたような笑顔まで彼にそっくりだ。
思わず笑みをこぼして、そっとその顔にキスをする。
いつか、こいつと写真を撮って彼に見せよう。
そして、次の旅行は自分からついていってみようか。