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「ともだちなのにおいしそう」

『ともだちなのにおいしそう』

なんてぴったりな言葉でしょう。
初めてCMで聞いたトキは背筋が震えたよ。
ほんと、今の状況にあまりにぴったりすぎるわけで。

「おーい。何ぼけっとしてるわけ?」
近い近い近い!!!
ドアップに驚き、上半身を後ろに引いたら座っている椅子ごと後ろにひっくり返った。
「お前…何してんの?」
呆れ顔をしながらも奴が助け起こしてくれる。
頭は打たなかったが背中を思いっきりぶつけてしまってむちゃくちゃ痛い。
「あーあー。背中思いっきりぶつけたんだろ?湿布貼ってやろうか?」
奴が優しく俺の背中を撫でてくれる。
「いやいや!平気!平気だから!!」
首を横に振りまくりながら奴の手を背中から離した。
今のタッチはまずいよ、今のタッチは!!
「そうか?」
奴が首を傾げたことでつい白い首筋に視線がいってしまう。
今、このとき、俺は誰よりもあの狼の気持ちを理解できているだろうよ!
「そうそう。次体育だろ?さっさと着替えるべ。」
ああ、体育。
ごめん、さっき嘘ついたわ。
これからの俺の方が絶対狼の気持ちわかっちゃうよー
奴が隣でシャツを脱ぐ。
もうね、すごいんですよ。
むっちゃオイシ…いや、綺麗な体してるんですよ。
ちっさい頃から空手やってるらしく、すんげー綺麗に筋肉ついてんの。
つきすぎず、つかなすぎず。絶妙ってやつ。
首筋から肩にかけてや背中とか、もう一度見たら忘れられませんよ。
「どうしたん?早く着替えないと遅れるぞ」
「ああ、うん。」
やっべー。じっと見てたの気付かれたか?つか、今、俺の目、血走ってないでしょうか。
「相変わらずほっせーなあ。タッパは俺よりちょっと高い位なのに、体重は俺より全然少ないだろ」
「ほっとけ!」
おし、普通に返せた。
………普通に反応できるかどうか緊張するってどうなんだ………

「なあ、今日俺んちでお前が見そびれたって言ってたビデオ見てけば?」
奴が俺に背後から抱きつきながら耳元で言ってくる。
やばい。非常にやばいがかなりいいわけで。
「明日土曜だし、久しぶりにそのまま泊まっちゃえば?今日俺んち、他に誰もいないから気兼ねしなくていいし」
「お、おう。」
友達って素晴らしい!
正にそんな感じ。
こんな風にくっついてられるし、お泊りだよ、お泊り!美味しいトコだらけだよ!!
―――って二人っきりはまずい!我慢できるわけがねぇ!!
「あ、俺やっぱり今日はやめ」
「ほらほら早く行こうぜ。帰りに夕飯も買ってっちまおう」
見事に遮られ、俺はそのまま引きずられて行った。

「あーやっぱ面白いなー!!」
いや、正直この状況に気をとられて全然見てませんでしたよ。
何でお前は俺の膝に頭載せてねっころがってるんですか。
友達か。コレが友達効果ってやつなのか!
むちゃくちゃ嬉しいし気持ちいいんだが、気持ち良すぎてやばいんですよ…
なんでコイツ相手にこんな気持ちになっちまうんだよ。
コイツは俺の友達なのに。

「コレ、お前と見ようと思って今まで我慢してたんだぜー」

そんな一言に涙が出そうになるくらい喜びを感じるのは、コイツがかけがえのない友達だからなハズだろ。
それ以外の答えは、出ないハズなんだよ。

『ともだちだけどおいしそう』

………このタイミングでこのCMが流れるわけか。
ちくしょう、そうだよ。
友達なのに、ただの友達だって思い込ませようとしてるのに、やっぱり『おいしそう』なんだよ。
なんてこった。
とめられないんだ、友達に向けるべきではないこの気持ち。

どっぷり凹んで、はーっと溜息をついたとき、奴がこっちをじっと見てることに気付いた。
考えていたことが考えていたことなので慌ててしまう。

「な、なんだよ。何じっと見てるんだよ」
「んー。やっぱりさあ、お前ってあれだよね。」
「あれ?………どれだよ?」
「さっきのあれだよ。『ともだちだけどおいしそう』ってやつ。俺がお前に思ってることに、ぴったりなわけ」

―――は?