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む~かしの友は~ い~ま~も~友~ 俺とお前と、大五郎~

「俺たちって、大五郎だよな」

ああ、またアホが変なこと言い出しましたよ。

フローリングの床になぜか正座し、お笑いの特番を無表情で見ていた奴が
ソファに座って本を読んでいた俺の方を急に振り仰ぎ、妙に瞳を輝かせて言った。
12月も半ばを過ぎたこの時期に床暖房でもないフローリングに座り込んで寒くないのかと思ったが
俺が奴を見下ろす機会はそうないので放っておいてアホの発言を理解しようと努めてみる。

「俺とお前が、何だって?」
「はい!大五郎!!」

奴は元気な返事と共に右手をあげ、左手でテレビを指差した。
指す前に答えるなよ、と密かにツッコミつつ視線を向けるとテレビからは森の風景と男たち、酒の瓶などの映像に加えて
『』という陽気な歌が流れていた。
懐かしい、癒されるなあ…としばし聞き惚れる。
「なあ?聞いてる?俺とお前、大五郎だよな!!」
聞き惚れついでに脳内リピートして癒されていたのにアホのアホな言葉に邪魔された。
「よく聞けよ。俺とお前『と』!俺とお前『は』じゃないだろーが!」
「ええ!?俺とお前の二人の間に割り込む『大五郎』って何者だよ!?そんな奴許せねー!!」

ああ、ほんとアホの相手は疲れる。

「違うだろ。『大五郎』は『俺』と『お前』を繋ぐ素敵なものですよって意味だろ」
「えー?邪魔者にしか思えないー」

不服そうにアホは言った。
このアホは絶対勘違いしてる。

「『大五郎』は酒の名前だぞ、人の名前じゃないからな」
「ええ!??」

やっぱりか。
最後にあんなにでかく酒瓶が出てくるのに知らなかったなんて、こいつはやっぱり素晴らしいほどのアホだ。

「えー。じゃああの人たちの仲は酒のあるなしで決まっちゃうわけー?」
「そういう意味じゃねーだろ、あの歌は。長い時間離れて過ごして、切れたと思った友とだって、『大五郎』を飲み交わし語り合えばすぐ前の様な仲に…ってヤツだろ」
「俺らに全然当てはまんないじゃん。」
「当てはまんないな」
「ま、いいけどー」

おい。
それは、俺とは切れたら切れたでいいやーってことかい。
かなり―――いや、ちょっと。ほんのちょーーっとだけ傷ついちまったじゃねーか。
俺の横に座ろうとして這い上がろうとした奴を、今の気分のままに思いっきり蹴り落とそうと
足を少し上げて膝を曲げたらそのまま足首を掴まれて片足をソファの上に抱え上げられた。
奴が俺の足に触れたまま、俺の耳元に口を寄せる。

「考えりゃ始めから違うもんなー。昔の友は今は恋人だし、離れるつもりもねーし、俺らの間に他の何かが必要なはずねーもんな。」

あー、もう、コイツはほんとアホだ。
アホのクセに俺の欲しいトコだけはぴったり当てる。
なんてアホなんだ