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口調人称変化自由

俺らは、気が付いたら仲良うなっていて、当たり前のように小さな店を始めた。
それから3年が経とうとしている。経営はぼちぼちというあたりやけど、そない不満もない毎日。

店の前の看板を「CLOSED」にひっくり返して、あたたかい店内に肩を竦めて入る。
あー、とため息に煙草の煙を混ぜて呟く店長。そこにはびっしりと予約の文字。
ようやるわと漏らすと、傍らの灰皿に灰を落として彼はまた煙草をくわえた。
「まぁこの時期やし、そらしゃあないわ」
俺らもようやったしなぁ…と付け加えた彼の目は、昔と同じ細い笑みを浮かべていた。
「ま、ヤマは今週末から来週の祝日にかけてやな」
予約帳をめくる彼の表情は、既に『店長』のからっとしたものになっていた。
「来週末はまだ暇やな。っと…クリスマスか」
今気付いたん、とフローリングの床に軽くモップを掛けながら笑った。
「今気付いたわー」
あっけらかんと返ってきた言葉とは裏腹に、煙草を灰皿に押し付けて消す動作が少し荒々しく見えた。
「ま、関係なく杉原チャンには入ってもらうし」
そんなん社員やし当然やん、と店長には背を向けたままでモップをしまった。
その倉庫の片隅に、1本だけ思われるシャンパンを見つけた。
店長、これ発注ミス?と振り返って尋ねる。彼がこっちを向いて、新しい煙草をくわえたままで目を丸くした。
「あー、多分せやな…―」
ほなどないしょ、と言う言葉が喉元まで出掛かるも、ふと思いついて無理矢理飲み込んだ。

「杉原チャン、今同じこと考えたやろ」

そう言って店長…いや、戸崎は目を細めてニシシと笑った。
あかんわ。やっぱ、昔っから変わらへんわあいつは。
店閉めたら戸崎ん家行ってアカシヤサンタでも見ながらまた2人で飲もか。
そんでまた朝までしょーもない話して、狭い床に大の字になって寝よか。