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880とカメダにGJ!とささやきつつ、踏まれます。>4-889

「ちくしょー!!」

パソコンにかじりついていたKが、いきなり大きな叫び声を上げた。
夕食どきに近所迷惑な奴だ。とりあえず黙らせるか、そう思って振り返る。
だが、先にKの方がパソコンの前を離れて、泣きながら俺に抱きついてきた。

なんなんだ。そう思ってパソコンの画面に目を向けたけれど、
いい加減度が合わなくなってきている眼鏡では、
いくつかのウインドウが開かれているのがおぼろげに見える程度だ。
どうせもう外出しないからと、コンタクトを外してしまったのは失敗だったか。

仕方ない、まずは奴を落ち着かせよう。

「落ち着け。どうした」
「お、俺……ちくしょう……」
「いいから落ち着け。泣くな。そして説明しろ」

今度はどんなくだらない理由だ、と言いたかったがそれは呑み込んで、
いつものように、ぐすぐすとしゃくりあげるKが落ち着くのを待つ。

──つもりだった。

「俺は……俺は、踏まれようとしたのに……!!」

だが、嗚咽混じりの押し殺した叫びが、
そんな呑気な考えを吹っ飛ばした。
踏まれようとしたってどういうことだ。
パソコン使っててどうやったら踏まれるとかいう話になるんだ。
それが叶わなくてどうして泣くんだ。いや、それはKだからしょうがない。

頭の中を飛び交う疑問符を取り除くべく、
パソコンの方へと歩み寄る。
背後から聞こえた、Kの「あっ」という叫び声と、
引き留めるように裾を引く動作は無視して。

最前面のウインドウは見慣れたギコナビ。
メッセージバーを見れば、レスを送信したあとにスレをリロードして、
表示された新着レスに驚き、思わず叫んだというところか。

そして、肝心のレス内容はといえば。

「>880とカメダにGJ!とささやきつつ、踏まれます。」

『*9が指定した画像を*0がうpするスレ』。
そこで*8のつもりで書き込んだのが、
リロードミスで*9をとってしまった、そういうことらしい。

まったく、こいつは本当に、なんでこんな下らないことで泣けるんだ。
何かにささやきかけながら踏まれている誰かの画像を、
スレを覗いた誰かがうpすればいい。
たったそれだけのことなのに。

「……いっそ、俺がお前を踏んでやろうか」

呆れて呟くと、途端にKはがばっと顔を上げた。
涙でぐしゃぐしゃの顔は、そのくせ希望に満ちあふれていて、
まさに今泣いたカラスがもう笑った状態──って、まさか。

「そうか、その手があった!」
「自作自演の誘いじゃねえよ馬鹿」

まったく、2ちゃんごときになにマジになってんだ、こいつは。