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友人だけど主従

緋色の絨毯が長く伸びる先、黄金に縁取られた玉座に1人座す「主」に俺は膝をつき
深く頭を垂れた。
「―お呼びでございますか、陛下」
俺の言葉に「主」は満足気に頷くと、近くに寄れと指先の仕草だけで促した。
その様子に俺の胸は高揚感でいっぱいになる。
立ち上がって玉座に向けて歩を進めるたびに、毛の長い絨毯に靴が埋もれるようだ。
寒々とした白い大理石と金箔に装飾された無機質な空間の中で「主」の栗色の髪と、白いけれど
血の通った肌だけが唯一の生あるものであった。
「失礼いたします」
呼吸を感じるほどの距離まで近づいた俺は瞼を伏せると、「主」のその指先に軽く口付けた。
再び目を開いて「主」の顔を見上げると、彼は冴えわたる冷たい眼差しで俺を見つめている。
その目に俺は益々鼓動を早くした。
「…陛下、俺は…」

だが、ノリにノっていた俺の言葉を玉座の「主」…もとい、友人兼側近がため息交じりに遮った。
「…もう宜しいですか?…陛下」
「…もうちょっと」
「もういい加減にしてください!」
我慢の限界だと言わんばかりに叫んだ側近は立ちあがると、有無を言わさず俺を玉座へと座らせた。
「何をお考えですか、戯れに私のような臣下を先祖代々の玉座に座らせるなど!先王が知ったらどれほど
お嘆きになることか!」
はいはい、俺は居心地の悪い玉座に肘をついて適当に側近の言葉を聞き流した。先王云々って言うけど
お前だって子どもの頃は俺と一緒に、父上の寝室のシーツの中にカエル放り込んだりしたじゃん
ちょっと年上だからって、自分ばっかりいい子ちゃんになるなよ
「だって王様って肩凝るんだもん。だから、お前にもそれをちょっと体験させてやろうかと」
「だもんじゃありません、人払いをするから何かと思ったらこんなくだらない用事とは…」
「そんなこと言って、お前もノリノリだったじゃん。カッコよかったよ~お前になら抱かれてもいいって思ったね!」
「なっ…」
だが、俺の軽口に側近は顔を真っ赤にして否定した。
「何を仰いますか!そのようなこと、陛下が口にされていい言葉ではありません!」
あれ、コイツこんなに純情だったっけ?
側近をからかうのも飽きてきたので、俺は軽く伸びをすると今日のスケジュールを持って来るよう側近に言いつけた。
俺の言葉に側近は安心したのか、優雅に一礼すると謁見の間を出ていく
その後ろ姿に俺は声をかけた。
「お前だからこんな息抜きができるんだ、感謝してるよ…友人殿」
「…陛下」
「だからまた取り換えっこして遊ぼ」
「駄目です」

ケチ。