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許させて

お前が俺のことをどうとも思っていないことなんて、最初からわかってる。
友達とも思ってないって。
ただ同じゼミだったというだけ。
いったいどうしてお前とああなったかなんて、今更考えても仕方がない。
二人とも浴びるほど酒を飲んでいて、お前の方が俺よりも酔っていたと言うだけだ。
そんなことはお前だってわかってると思っていた。
どうしてこっちを見ない。
お前の視線が俺の回りをうろつき、瞬間でそらされる度に、俺の胸は痛くなる。
お前が付けた痕はもう薄くなった。
あちこちに残された色も褪せた。
痛みも案外早くに消えた。
時間が、身体の表面に残された嵐のような行為の痕を薄め、俺にはあの夜の記憶だけが残る。
頼む、俺を見ろ。
このままではなにも終わらず、なにも始まらない。
無かったことにすら出来ないのなら、一度終わらせてくれ。
俺を、友達とも思ってないのなら、なおさら。
お前の自分を責める顔を見るのはつらい。
逃げるな。
顔を背けるな。
一度殴らせてくれたらそれで終わらせてやる。
俺の三年越しの気持ちを伝えるのももちろんしない。墓場まで持って行く。
ただのゼミの仲間に戻るために、どうか、俺を見ろ。
「許してくれなくていい」
そう言って部屋から出て行ったお前の、無理矢理に男を抱いてしまったと言う、その枷を外してやるから。
そしてそんな男に惚れていると言う、俺の報われない思いをそれで昇華するから。
俺のために、お前を許させて。