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あなたの子供が欲しいのに

「貴仁義兄さん。いきなりですが、今日は折り入って義兄さんにご相談が」
「まあ茶飲めや。しかしお前が俺に相談なんて珍しいなあ」
「あなたのお子さんを俺に下さい」

無情にも彼の率直な願いは、彼の義理の兄によるアッパーフックではね除けられた。

「義雄よ、俺は残念だよ。非常に残念だ」
「クッ……義兄さん、危うく脳震盪起こしかけるほど見事な攻撃でした……」
「誉めんなよ。照れんだろ?」
「誉めて無いですよ!」
「で、なんの話だったっけか」
「だからあなたの子供が欲しいからおくれって話……や、ちょっ構えを取らないで構え」
「ああ、スマンいつもの癖でイラッと来るとつい。……えっと何?お前ってホモだったの?」
「ええ。姉は知ってますよ。ちなみに俺の初恋兼恋人は義兄さんの同僚の義純さんです」
「マジでっ!?あ、あーでも確かにアイツボディタッチ激しいよな、ゴツいし」
「あ、ちなみに義純さんがバリネコ俺がタチですよ。タチってのは男役って意味で……」
「止めろソッチの世界に詳しくなりたくないっ。俺の子供が欲しいって、つまり、尊が欲しいってことか?」
「はい。俺は尊くんと一緒になりたいんです」
「……でもさ、男同士じゃ結婚出来ないだろ?」
「ですから今日はこうして養子縁組の許可を戴こうと」
「聞くけどさ。尊の何処が良いんだ?我が息子ながらもう二十歳になるのに女っ気ないわ無愛想だわゴツいわ」
「そこが良いんじゃないですか。あの黒髪も色白な肌もボンキュッボンな体型も長い睫毛も照れ屋で無口な所も天然な所も意外に泣き虫な所も団子虫が好きなところもおおおぁキュンキュンキュイィィ」
「落ち着け!!もう充分分かったから!!」
「!……じゃあ許可戴けるんですね!?」
「まあ、な……。しっかし気づかなかったぜ。お前いつから尊と良い仲だったんだ?」
「え……。い、一年前?」
「お前嘘をつくと必ず耳たぶ触るって知ってた?」
「じゃあ半年前で」
「……『じゃあ』半年前『で』だと?」
「――あ、アハハ。ご安心ください。義兄さんにこうして許可を戴いたからには既成事実が出来たも同然!尊くんに逃げ場は最早無い!簡単に攻略してみせますよ!」
「なんだその希望的な意見は…………」
「…………」
「おい義雄!」
「……ええそうですよ……尊くんにはまだ告ってませんし手も触れてませんし、っていうか!?そんな勇気があったら義兄さんこんなセコい下地作りの頼みごとしなくないですか!?」
「まさか、お前この話尊の許可は…………」
「大丈夫です適当に言いくるめますから。なんたって営業マンですしね。ホラそんなのどうでも良いからここにサインして下さいな!早く。むしろお速く」
「そうか……」

その直後、義兄が問答無用で義弟にジャーマンツープレックスをかけたのは言うまでも無い。

勿論養子縁組の話も紙ごと破棄されましたとさ。