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絶対に知られたくない人

僕は知られたくないのだろうか。それとも知って欲しいのだろうか。

絶対に知られたくない人

「おはよう」
「おはよう」
彼は僕の幼馴染みだ。
「はい、これ今日の分」
「・・・こんなの相手にしなくていいって、いつも言ってるのに」
僕の渡した数枚の封筒に、彼はうんざりとした顔をした。
彼はもてる。整った顔立ち、男らしい性格に加えて、文武両道。天が二物も三物も与えたのが彼、だ。
逆に僕は平々凡々、顔立ちも普通だし、性格も無難、成績も中の中。母が、彼の爪の垢でも煎じて飲ませてもらいなさい、と常々言うほどだ。
「そういうわけにはいかないよ。朝イチで待っていてくれる彼女たちをむげに断るわけにもいかないし」
「まぁお前の顔をたてて一応、貰っとくけど」
「焼却炉行き?」
「そうだな。こんなもの、俺には必要ない」
「彼女たちが可哀想だよ」
言いながら、僕は暗い喜びに捕われる。

僕は彼が好きだ。

恋文の橋渡しをしながら、ある日突然それに気付いたというのだから、間抜けなものだ。
それ以来、彼が彼女たちの誰かと恋仲になったらどうしようと思っていたのだけれど、この調子ではそれもなさそうだ。彼の一番近い場所には僕が居続けるのだ。
焼却炉行きの恋文に最初こそ同情したが、今ではそれに暗い喜びを覚える。・・・叶わぬ想いだからこそ、きっと。



この想いは知られてはならない。