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腰まである長髪

今日も俺の幼馴染は煩い。
折角きれいな夕焼けだというのに、それに見とれもせずわめいている。
「奇跡だ! ミラクルだ! マジカルペシャルミラクルだ!」
「はいはいそうかそうか。そりゃ良かったな」
「なんだようーもっと祝えようー俺とお前は十年来の親友だろー?」
 まあな。確かに幼稚園からのつきあいだわな。
「そうだな、十年来の親友だ。だからなんでもしってるぞ。お前があきもせず似たようなタイプに告白して付き合ってすぐ振られて泣きついてくるのがもうすぐ累計14回になるってこともな」
「あーなんだよそれ! 今回こそは大丈夫だって!」
「お前俺にもたれかかって泣くだろ。翌日肩が凝って大変なんだ。泣く時間を短くしてくれればまあ祝ってやらんでもないが?
 あ、そうか、情がうつらなければいいのか。今回もすぐ別れればいいのに」
「ひでえ!
 なんだようひがんでんのかよう、お前俺よりもてるんだからいいじゃん!」
「…はん」
鼻で笑う。もてても本命が振り向かなければ意味がないのだ。つくづく馬鹿な奴である。
あーなんだよそれむかつくー、と奴がわめくが無視して足を速める。ひゅう、と風が吹いて髪を巻き上げた。顔に少し絡み付いて面倒くさい。
ふと、奴の告白に承諾を返したらしい人の容姿を思い返す。腰まで伸びる黒髪が脳裏に蘇った。
「お前、本当に長髪の人が好きだな」
追いついてきた奴に言う。
「なんだよ、人の勝手だろ」
ああそうだな、お前の勝手だ。そういう風にすればいいさ。

まとわりつく髪の毛を払う。いつまで伸ばし続ければいいのか分からないその髪は、それでも確かに俺のもので、とっくに腰まで伸びていた。