ネカマ×出会い厨
黒羽根聖也(HN)、25歳。俺はいま幸福を噛み締めていた。彼女いない歴が年々更新されてゆくのを見かねた同僚から勧められた出会い系で、にゃみ子ちゃん(HN)19歳と仲良くなり、メールを交わすこと数週間。今日やっとデートに漕ぎ着けたのだった。待ち合わせ場所に現れたにゃみ子ちゃんは、事前に交換した写メよりももっと可愛らしく、コンプレックスだと言っていた身長の高さもかえって良い、と思わせるような女の子だった。「聖也さん」「ん、なんだいにゃみ子ちゃん」夢のような1日が終わり、今はにゃみ子ちゃんを家へ送っている最中だった。本当ならここから脱童貞へかけ上がりたいところだったが、いかんせん焦りは禁物だと同僚から叩き込まれている。「あ、あのね、あたし」助手席のにゃみ子ちゃんはもじもじと視線をさ迷わせていた。もしやチューくらいさせてもらえるんじゃ、という考えが脳裏を過るが、ブンブンと頭を振ってそれを追い出す。いけないいけない、年上の余裕を見せなければ。とそんなことをしていると目の前の信号が赤だったことに気づくのが遅れ、思わず急ブレーキを踏む。「きゃっ」にゃみ子ちゃんが小さく悲鳴を上げた。「ご、ごめんね!大丈夫だったかい」焦ってそちらを向くと、にゃみ子ちゃんの白い手が伸びて、俺の頬に触れた。「あの、あたしね、気分がわるくなっちゃったの。あそこで休みたいな」にゃみ子ちゃんが指差した先は、あろうことか夜中でもこうこうと光の灯る、ラブホテルだった。*黒羽根聖也(HN)25歳、期待に膨らむ胸をなんとか押さえつけている。部屋に入るなりにゃみ子ちゃんは頬をぽっと赤く染め、シャワーお先にどうぞ、と言った。破裂しそうな心臓と闘いながらシャワーを浴び、今は彼女がシャワーを浴びている。これは、いいんだよな?いいってことだよな!自問自答し、ボスンとベッドに倒れこむ。ああ親父お袋、半ば諦めていた孫の顔、見せてやれるかもしれません。そんなことを考えていると、バスルームの扉がゆっくりと開いた。バスタオルを巻いただけのにゃみ子ちゃんがおずおずと出てくる。それを見た瞬間に我が愚息は戦闘体勢に入った。にゃみ子ちゃんは少しバスタオルの裾を気にしながらこちらへ歩み寄り、ベッドにちょこんと腰掛ける。「に、にゃみ子ちゃん!」「はい」「い、いいかな…?」「はい!」にっこりと笑うにゃみ子ちゃんを押し倒し、キスをする。彼女はくすぐったそうに笑っている。そしてバスタオルに手をかけ、一気にそれを引き剥がした。「…え?」いま、信じられないようなものを見た気がする。頭をブンブンと振って、もう一度彼女を見る、が状況は変わらない。「え…えええええ」思わず声を上げると、にゃみ子ちゃんはニヤリと口角を吊り上げて、笑った。「びっくりした?」心なしか声のトーンが低くなっている。「でも今さらやめるなんて言わないよね?」言いながら彼女、いや彼は俺の手を取り、今度は俺を押し倒した。「え?ちょ、え」「こんな可愛い子とヤれるんだから、いいよね」「え、ちょっと待っ、ちょ、アッー!」*拝啓、親父お袋。やっぱり孫の顔は見せてやれそうにありません。
あなたとは違うんです!
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