かえりたい
「なぁ」「……」「聞いてる?」「……聞いてる、よ」「ほんとかよ」はーっとため息をつかれる。学校が終わってそのまま圭介の家に転がりこんで。明日提出の課題を一緒にやろうとのことだったのに結局ゲームばかりして。日も暮れてゲームにも疲れてきたところで、「俺が、お前を、好きだって言ってんの」俺は友達に告白されていた。「で、どう」「え?」「お前はどうなんだよ」「どうって …そりゃあ」「やっぱ男は駄目か」そりゃそうだろ。俺は男でお前も男。俺は女の子が好きだ。黙っていると、圭介ががっくりと肩を落とした。「そりゃそうだよな。当たり前だよ。でもさ、もしかしたらお前も、ってちょっと思ったんだよ」「はぁ」「いや、だってさ」「お前、俺のこと好きだろ?」「はぁ!?」「嫌いなのかよ」「いや別に嫌いじゃねーけど…」「お前さ、俺と話してるとき、すっげー嬉しそうな顔してるじゃん。遊びに誘ってもそりゃもう嬉しそうだし・・」「待て待て待て!」「何だよ」「そんなことねーだろう!」「そんなことあるよ。目えキラキラさせてさあ・・」「はああああ!?」何いってんだこいつ!「お前の目にフィルターかかってんじゃねえの?都合のいいやつ」「まあそれもあるかもしれないけどさ、まだあるぞ」「何?」「俺が女の子に告白されたーって言ったらすげえ寂しそうな顔したじゃん」「してねーよ!」「いや、これは間違いない。断言できるし。そうだろ?」そういってこっちを見てにやっと笑う。やめろよそれ・・「あーーーー、まあ、ちょっとは、な。遊ぶやつ一人減るとかさ」「女子かよ」「うっせ!・・でも、俺がお前を好きでも、それはお前のとは違うよ」確かに、圭介のことは他の友達とはちょっと違うと思ってる。お前といると楽しいよ。だから圭介に彼女ができて遊べなくなったら嫌だと思った。でもそれは、友達だろ?「そうかな?」「・・へ?・・・おおおお前なにすんだよ」圭介が俺の両手首をつかんで、押しかかってきた。「こうされて、どう思う?」「どうって、気持ち悪いに決まってんだろ!」「じゃあ逃げろよ」「抑えられててどう逃げんだよ」「そんな力入れてない。・・なあ」そんな目で俺のこと見ないでくれ!「逃げねえの?」あーーーーー、もう、俺はお前に弱いんだよ、分かってるんだろ?よくわかんねえけどお前と目が合うと、逆らえないんだよ!「一樹・・」だから、俺をホモにしないでくれ!・・・かえりたい!
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