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尊敬する上司 ---- 「あの、部長…ちょっと…いいですか?」 「ん?どうした」 昨夜俺は、信じられない現場を目撃してしまった。 入社以来ずっと俺に目を掛けてくれていた部長、その部長が…。 「ぶ、部長…ゆうべ、駅前に、いらっしゃいましたよね…?」 「え?…あ」 「俺見ちゃったんです、部長が、その…ホ、ホテルから出てくるの」 「…そうか、あー見られちゃってたか…」 「しかも相手の人って…お、男の、人で…」 「ん。そう、だね」 どうして、男なんかと。 奥さんもお子さんもいて、幸せそうな家庭で、仕事も出来て、部下に優しくて、頼りがいがあってでも時々お茶目で。 尊敬して崇拝して憧れてた部長が…男と…。 「どうして!あんなの見たら俺、俺っ!」 「うん、軽蔑しただろうね…」 「俺…あ、諦められない!!です!」 「え?」 「だって、部長には奥さんもいて、お子さんもいて…だから俺…っ」 もう、人生終わり。 あ…会社も辞めなきゃな。 でも、だったら。言ってやる、軽蔑すればいい、失望すればいいよ。俺の言葉をくらえよ、最初で最後の下剋上だ。 「俺は!入社してからずっと、ずーっと!部長が、好きなんです」 さよなら部長。 「………に、似てたから」 「へ?」 「君に、似てたから…あの子」 「…はい?」 「だからーそのー、えぇと……僕も、好きだよ。君が」 えぇぇぇぇえええ!!? まさかの、まさかの!?天変地異だ前代未聞だ異常気象だ突然変異だ。 どうしよう。 どうしよう。 嬉しくて、死にそうだ。 「君にそんなこといってもらえるなんて…僕、恥ずかしくて死んじゃいそうだ…」 「…俺もです」 障害なんて、この先いくらでもあるんだろうけど、今はもう、そんなのどうでもいいや。 「好きです」 「うん、僕も」 「あ、部長ってタチですかネコですか?」 「……げ、下剋上は、よくないと思うよ…?ほら僕、上司だし」 「でも俺、部下ですから。部長には、ご奉仕しないと」 了。 ----   [[先輩に対して信仰に近い尊敬を抱いてる後輩>18-889]] ----

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