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同性結婚
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「結婚して下さい!」
プロポーズされた。
街中で、しかも知らない男から。
「…は?」
「あ、っと違った、結婚を前提にお付き合いをしてください!」
ちょっと睨んだにも拘らず、やけにさわやかなイケメンはそう言って俺に手を差し出してくる。なんだそれ握手しろとでもいうのか。反射的に握りそうになっただろ危ない危ない。
俺はそのイケメンの面を見た。イケメンは目をきらきらさせて俺を見つめている。その瞳には一筋の曇りもなかった。
俺は俺の格好を見た。おろしたてではないが普通にスーツ。ついでに俺は女顔では決してない。身長もこういってはなんだが日本人離れしているし、友人曰く俺は憎らしいほどたいそうなイケメンだそうである。
ああなるほど。
「ただの残念な奴か」
「えっ、ちょ、違います!違いますって――」
なにかまだわめく奴に背を向けて俺は歩きだす。さて取引先に向かうか、と鞄を持ち直す。実になんとも残念なイケメンだった。全く世の中、なんとも惜しいものである。
翌日。
「結婚して下さい!」
またプロポーズされた。顔を見ればあの残念なイケメンだった。とりあえず股間を蹴り上げようとすると避けるのでむかついた。とりあえず友人曰く「吹雪が背景に見えた」らしい表情で見つめてから背を向けた。
翌々日。
「結婚して下さい!」
またである。勿論あの残念なイケメンだった。友人曰く「凍りつくような笑顔」でもって応対する。なぜかさらに頬を赤く染められたので鞄で殴ろうとすると避けられたが、むかつくので更にこぶしを固めてもう一撃食らわせてみると結構いいところにはいった。
すっきりしたので警察への通報はやめた。
翌々翌日。
「結婚して下さい!」
残念なイケメンに友人曰く「絶対零度の眼差し」を出会い頭に向けた。ぴゃっ、と変な声を上げて飛び退ったイケメンであるが、しかしまだしつこく話を聞けと言ってくる。
「あの、僕はですね、本当にあなたと結婚を前提に」
「鼻から割り箸突っ込んで奥歯カタカタ言わすぞこら」
「えっ…」
そこでなぜ頬を染める。
翌々翌々日。
「結婚して下さい!」
…本気で警察に通報しようか。
ぴー、と炊飯器の音がした。頼むわ、と言えばはーい、と返事が返って、脇で炊飯器を開けてレトルトの具を混ぜ込む音がする。
「んー、いいにおい。ねえ穣さん、」
「却下」
えー、と出鼻をくじかれて不満げに卓が声を上げた。当たり前だこのどアホ。
「僕まだ何も言ってないのにい…」
「言わんでも予想がつくわ、アホ」
「ぶー。だって僕らもうこんな関係じゃないですかー」
「まあな。だが却下だ却下。できんもんはできん」
そういうと卓はじゃあなんで穣さんと僕がここにいるんですー、だとかわめきだす。出会って早半年ではあるが、全く未だに実に残念なイケメンである。
「そういうことは法律が変わってから言いなさい」
「えー…あ、でも、あの」
「養子縁組は却下。俺はお前を息子にはしたくない。あまりに残念すぎる」
「ゆ、穣さん冷たい…」
「あぁ? 誰が冷たいだ。俺は愛情に満ち溢れたいい男だぞ?」
「…穣さんは僕に愛がないんだ。ないんだー」
「言っとけ言っとけ」
「だってであったときから冷たかったもん! なんでこうなってるのか僕にもさっぱり分からないし!」
「そりゃあまあな、アレはどう考えても残念だったからなあ、まあでも――」
わあわあわめく卓の顎をすくいあげてキスをする。よし黙った。
「それさえなけりゃあお前、同性結婚でもしていいかって思うぐらい俺の好みだったし。別にいいだろ」
法律変わってからまた言えよ。判子をつくぐらいには愛してるから。
そう言うと卓に押し倒された。まあまんざらでもない気分なので、奴の背中に手を回し、応えてやることにした。
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[[俺が片思いしている受は、あの完璧超人な攻が好きらしい。こうなれば当て馬覚悟で攻の奴を妨害して受を取り戻すしかない!と思ったのにどうして俺が告白されてるんでしょう、攻に>18-859]]
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