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ラーメン屋店長×見習い ---- 店長は無口だ。 仕事は天下一品で、俺は店長のラーメンに一目じゃない一口惚れした。 弟子はいらないと、嫌がる店長に頭下げてなんとか見習いにしてもらって、そろそろ一年になる。 無口な店長の代わりに客に愛想振り撒きながら、なんとか店長の味に近付きたくて、ずっと店長を見てる。 店長は俺の作ったラーメンをいつも一口すすり、麺を食べ、うん、とか、うーん、とか唸るだけ。やっぱり、何にも言わない。 一体どうなんだろう。俺の仕事。 今日はいつもより食べてくれるかな。 うーんじゃなくて、せめてうんうん、とか言ってくれないかな。あの表情は○なのか×なのか、ちょっとは口元緩めてくれないかな。 店長の顔ばかり見てる。 この不安な気持ち、どうしようもないよ。 俺、夢にまで見るんだよ。店長の顔。 無口だけど静かで穏やかな感じの店長の顔。ああ、横向かないで。 今日は店長どんな顔見せてくれるかなって、毎日店長のことばかり考えて、ドキドキしながら店に来る。 なんだろう。なんか、ラーメンに惚れたのか店長に惚れたのか分かんなくなってきた。 熱出そうな感じ。 頭ぐるぐるしながら、ラーメンを店長の前に置いた。どんな顔するかな? にっこり笑ってくれれば、それだけで俺、泣くかも。 「店長、笑ってくださいよ。」 あれっ、俺なんか今、とんでもない事言ったかも。 焦って飛び起きた。 ん?俺なんで寝てんの?じゃ、さっきのは夢? 今何時だろうと思って見渡すと、見慣れない部屋のベッドに寝てた! 見たことない部屋。 だけど、不安な感じはしない。なんだろう?この、良く知ってるような感じは。それに、なんか温かくて涙が出るみたいな、この感じ。 「目が覚めたか?」 店長が、ほかほかと湯気の立つ、小さな鍋をベットの横に置いた。なんか、心配そうな顔。俺の額に手を当てて、少し、穏やかないつもの表情に戻った。 「店長、あの俺…。」 「熱はないみたいだな。これでも食べてゆっくり寝てろ。俺は店に行って来るから。」 って、店長、俺の頭を撫でて行っちゃった。 俺はどうやら、ぶっ倒れて店長の部屋に運ばれて、一晩寝てたらしい。 でも、俺は見たぞ。 部屋出る前、なんか、店長、すっげー優しい顔で、俺を見て微笑んだのを。 俺は、店長の作ってくれた絶品のお粥を、この上ない幸福な感じを覚えながら味わって食べた。 ふと、気付くと、鍋の下に手紙があった。 店の品書きと同じ、店長の見事な筆跡。 『頑張ってるのは、良く見てる。気にしないでゆっくり休んでいなさい。 近頃は少し頑張り過ぎたみたいだから、来週は休みを取って、慰安旅行でもしよう。 ―今度、もっと笑うようにするよ。段々、良い仕事になってきたね。ー』 文字、霞んで見えなくなってきた。 ----   [[口の悪い二人>4-539]] ----

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