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星の王子さま ---- 十一月十七日(木) 晴 あいつは不思議で、変わり者だった。もうそれくらいのことしか思い出せない。 子どものくせにインテリを気取っていた僕も、傍から見れば十分に変わり者に 違いなかったのだろうが、しかしながらその僕から見ても、いや、その僕から 見れば余計に、彼は変わっていて不思議だった。 思い出すだに懐かしい。 損得でしかものごとを捉えられない、嫌な大人のミニチュアだった僕を、あいつは 笑いながら粉々に砕いていった。 嗚呼、今、彼はどうしているのだろう。 元気でいるのだろうか。元気でいてほしい。 そして出来ることなら、彼に今の僕を見せてやりたい。 物語など古文・漢文・英文しかまともに目も通さない学生だった僕が、今こうして この生業で大成している、この姿を。 すべて君のおかげだ。ありがとう。 今日の午後、図書館で久々に手に取ったあの絵本に出てくる王子に、あいつは どこか似ている。 彼が僕を作り変えたのだ。不思議な少年が、飛行機の操縦士にそうしたように。 彼は、きっと僕にとっての「星の王子様」だったのだ。 そして、そして、そして……―――いや、これ以上はあえて言葉にはすまい。 日記など酔いにまかせて書くものではないな。 今日はもう寝よう。明日の朝、二日酔いにならないことを願う。 ―――ある小説家の日記より ----   [[ラーメン屋店長×見習い>4-529]] ----

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