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終わりなき不毛の地 ----  枯れた草色の肌をした男が、日除け布の下から俺を振り返った。  轟。  延々と続く不毛の大地を、乾いた風が吹き抜ける。 「──本当に、良かったのか」  舞い上がる砂埃を吸わないよう、鼻上まで布を引き上げた俺に、微かな低音が届いた。  この大地を吹き抜ける風のような囁き。  眼に強い陽光を背に、佇む男の表情は見え難い。  双眸を薄め、俺はハン、と息を零した。  轟。 「世界の果てを見せてくれるのだろう」  風が吹き抜ける。 「──お前はそう、俺に言った」  日除けの布がはためく。  俺は、少し痩せて、しかし意志を宿した侭の片腕を差し出した。  あの旅立ちの日。眼前の男が俺に対してそうしたように。 『俺と共に来い。お前に、世界の果てを見せてやろう』  俺は、だから。お前と共に来た。  轟。 「──世界の果ては、まだ遠いぞ」 「分かっている」  たとえそこが、果てなき不毛の大地であろうとも。  枯草色の腕が、確りと、俺の掌に重なった。 ----   [[「一生あなただけを愛しています」>4-439]] ----

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