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グーチョキパーの三角関係 ---- 「あんたは彼に抱きしめられるばっかり。あたしなんか、いっつも彼を傷つけるだけで、嫌われていくだけよ。 あんたみたいに、一度でいいからあの手に包まれてみたいわあ」 すらりとした長く美しい二本の指はたばこを挟んで遊んでいた。 「ねえ、彼はどんな風にあんたを包むの?やっぱりふんわり優しい感じ? はあ・・・、いいわよねえ、優しい男。はたから見てても、あんたのこと好きなんだなあってわかるものね。 あー、想像だけでどきどきしちゃう」 普段はつんと澄まして偉そうにしているくせに、俺の前ではいやに饒舌になる。 あいつの前では、なよなよしたこんな女言葉では絶対に話さない。 まっすぐに、ぎらりと鋏のような鋭い目で威嚇して、有無を言わせず、あいつをこてんぱんに打ち負かしている。 「あたしみたいに切り刻むんじゃなくて、包み込める彼は私の憧れなのよねえ」 「あんな、なよなよしたやつの、どこがいいんだよ」 「まっ、あんた贅沢ね!もっと彼に抱きしめてもらえることの贅沢さを喜びなさいよ」 「男は力強くてなんぼだろ」 それも悪くないけどねえ、と寂しそうに呟く。 「やっぱり優しく抱きしめてもらえるって、いいことだと思うのよ。ま、あたしは経験ないけど。 いっつも頑固なあんたに降参するだけだからさあ」 そういってけたけた笑った。お前に勝つにはこうするしか方法がないじゃないか。出かけた言葉をぐっと我慢する。 握った手のひらに爪が食い込む。 力強い俺が好きなあいつと、優しいあいつが好きなこいつ、上手く甘える術を知らないこいつが好きな俺。 いつかこの一方通行の関係が変わればいいのにと思うけれど、それは今までも、そしてこれからも絶対に叶わない願いなのだ。 ----   [[相容れない敵同士が一時的に手を組む>18-619]] ----

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