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背中合わせ ---- 先輩の額には、去年に他校の奴らとやりあった時のナイフの傷痕。 前歯は上と下が一本ずつが差し歯で。 学ランで見えない服の下も、傷痕や、打撃を受けて変色した痣、生傷だらけ。 「先輩…痛くないスか?」 「ん?いてーよそりゃ。」 「喧嘩するななんて俺が言えたクチじゃねーっスけど…ナイフやバット持った奴相手の素手ゴロはやめねっスか?」 今も左腕はギプスで固めて肩から吊られてる。黒い学ランに浮き上がる白が痛々しい。 先輩は相手がバットを持っていようが、ナイフを持っていようが素手で立ち向かう。 相手が一人でも複数でもそれは変わらない…先輩のポリシー。 「あん?やめねーよ。 お前いんじゃん。下手な武器よりお前がいい、俺。」 俺の頬っぺたには先輩と同じナイフの傷跡。毛で隠れた頭には鉄パイプで殴られた跡。学ランの下もやっぱり傷だらけ。 喧嘩の傷痕だらけの俺たちだけど、背中だけはきれいだ。 敵に背中は向けない。 俺の背中は先輩に預けて、先輩から預かった背中を守るから。 「…腕くっつくまでは控えて下さいね… 俺が、守りますから…」 ----   [[刀と鞘の関係>4-189]] ----

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