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いやいやいや、新幹線駅じゃなくても迷うよ。天王寺とかややこしいし。
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「ぅあー……。」
半ば押し付けられての出張で人生初めての大阪に降り立った俺はうんざりとした声を上げた。
広さ的には東京駅の方がはるかに広いのだろうが不慣れな分やたらと広く見える。
在来線の名前も見慣れないからどれがどれだかわからない。
「環状線ってどこだよ!」
表示を見ながら構内をうろついていたがそんな文字はどこにもない。
出張を押し付けられた苛立ちも手伝ってつい大声を出していた。
「環状線はこっから出てへんよ。一旦大阪まで出な。」
背後からやわらかい関西弁が聞こえた。関西なんだから関西弁で当然か。
振り向くと人のよさそうな笑みを浮かべた男が立っていた。
「あー…そうなんですか。どうも…。」
一人で叫んでいるところを聞かれた気まずさも手伝って曖昧に答えると男は俺の手を引いて階段に向かう。
「こっちやで。こっからどの電車乗っても一駅で着くし。着いたら環状線って矢印あるからそれ見てけばええわ。」
「はい…。あの、どうもご親切に……。」
ああ、大阪はまだ義理人情が残ってるんだなあ。東京じゃ迷ってようが何しようが誰も助けてくれねーぞ。
電話で話した大阪支社の奴が「東京もんは冷たい」と言っていた理由がわかった気がした。
「環状線てどこ行くん?」
「天王寺です。そこからまた乗り換えて堺に……。」
「天王寺なあ。あそこもややこしいし、ちょぉ書いといたるわ。えーっと紙紙……。」
男は鞄を探って名刺入れを取り出すと名刺の裏にご丁寧にも何番線、何駅下車、何番出口と書き付けて渡してくれた。
「ほな急ぐし」と去っていった男の名刺を見てああ、自分の名刺も渡せばよかった、と後悔した。
まあいいや、しばらく滞在するんだし。週末にでも電話をかけてみよう。
ホームに滑り込んできた電車に足取り軽く乗り込む俺はいつの間にか笑みを浮かべていた。
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[[教育実習生と二人の攻め、担当指導教諭、成績優秀だが素行のあまり良くない学生>4-039]]
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