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照れ隠しで抱きしめる
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あまりに関谷が俺を褒めるものだから、照れ隠しに抱きしめてみた。
関谷はぎゅむ、と声ともつかないうめき声をあげ、じたばたしている。
参ったか、これで黙らざるを得まい、どうだ俺の嫌がらせは。言葉にすればそんな気持ち。
とにかく、いつも生意気な後輩に一矢報いたつもりだった。
実のところ、逆襲の必要はもうなかった。
真面目だが一本気すぎて扱いにくいと評判だった関谷は、
一緒に担当した今回のプロジェクトを通じて、徐々に素直になっていたから。
鼻っ柱の強い後輩に認めさせる……先輩としての勝利だ。
だからもう気は済んでいた。まさか薬が効きすぎているとは思いも寄らなかった。
「いい仕事でした……加納さんの企画は的確だった。
客も予測以上に入ったし……内容もよかった。ゲストも受けた。
地味なテーマなのに満足度高かったですよ。取材も結構来ましたしね。
加納さんの人脈があってこそでした。いや良かったです。本当にいいイベントになりました、大成功でした。
加納さんは……すごい人だと、僕は思います」
饒舌というよりは訥々と、それでも心から思っているのだろう、何度も同じ事を繰り返す。
酒に弱い関谷は、褒め上戸だったのだ。
先輩冥利に尽きる。こんなに心酔されることなんてなかったと思う。
大げさに持ち上げられるよりじんわり気持ちが伝わってきて、嬉しいと同時にすごく照れた。
酒が入る直前まではいつもの落ち着いた関谷だったので、面はゆさに拍車がかかる。
最初は驚き、次第に苦笑い、ついには恥ずかしくていたたまれなくなった。
俺も酔っていた。冗談に紛らせて関谷を黙らせるつもりだった。
「お前の気持ちは分かった。俺も、お前がいたから今回頑張れたと思うよ!」
オーバーに叫んで、力一杯抱きしめた。
締め上げた、といった方が良いベアハッグだったから、息が詰まって関谷はあえいだ。
パッと離すと、顔が赤い。耳も、首筋まで真っ赤だ。
「感謝、感謝。もう、あんまりお前が褒めてくれるから感謝の気持ちね。
関谷のこと俺、本当、愛してるから!」
テンション高くうそぶくと、火傷したように関谷の体がはねた。
……予想した罵詈雑言が返ってこない。急速に酒の力が抜けてくる。
黙ってしまった関谷に、俺はようやく何かいけないことをしたと……悟った。
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[[表示名>18-459]]
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照れ隠しで抱きしめる
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あまりに関谷が俺を褒めるものだから、照れ隠しに抱きしめてみた。
関谷はぎゅむ、と声ともつかないうめき声をあげ、じたばたしている。
参ったか、これで黙らざるを得まい、どうだ俺の嫌がらせは。言葉にすればそんな気持ち。
とにかく、いつも生意気な後輩に一矢報いたつもりだった。
実のところ、逆襲の必要はもうなかった。
真面目だが一本気すぎて扱いにくいと評判だった関谷は、
一緒に担当した今回のプロジェクトを通じて、徐々に素直になっていたから。
鼻っ柱の強い後輩に認めさせる……先輩としての勝利だ。
だからもう気は済んでいた。まさか薬が効きすぎているとは思いも寄らなかった。
「いい仕事でした……加納さんの企画は的確だった。
客も予測以上に入ったし……内容もよかった。ゲストも受けた。
地味なテーマなのに満足度高かったですよ。取材も結構来ましたしね。
加納さんの人脈があってこそでした。いや良かったです。本当にいいイベントになりました、大成功でした。
加納さんは……すごい人だと、僕は思います」
饒舌というよりは訥々と、それでも心から思っているのだろう、何度も同じ事を繰り返す。
酒に弱い関谷は、褒め上戸だったのだ。
先輩冥利に尽きる。こんなに心酔されることなんてなかったと思う。
大げさに持ち上げられるよりじんわり気持ちが伝わってきて、嬉しいと同時にすごく照れた。
酒が入る直前まではいつもの落ち着いた関谷だったので、面はゆさに拍車がかかる。
最初は驚き、次第に苦笑い、ついには恥ずかしくていたたまれなくなった。
俺も酔っていた。冗談に紛らせて関谷を黙らせるつもりだった。
「お前の気持ちは分かった。俺も、お前がいたから今回頑張れたと思うよ!」
オーバーに叫んで、力一杯抱きしめた。
締め上げた、といった方が良いベアハッグだったから、息が詰まって関谷はあえいだ。
パッと離すと、顔が赤い。耳も、首筋まで真っ赤だ。
「感謝、感謝。もう、あんまりお前が褒めてくれるから感謝の気持ちね。
関谷のこと俺、本当、愛してるから!」
テンション高くうそぶくと、火傷したように関谷の体がはねた。
……予想した罵詈雑言が返ってこない。急速に酒の力が抜けてくる。
黙ってしまった関谷に、俺はようやく何かいけないことをしたと……悟った。
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[[割烹着が似合う攻め>18-459]]
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