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親の言いなり攻めとそんな攻めに対して何も言わない受け ---- 仕方がない、とすら君は言わぬ。 志半ばに帰郷し、親の決めた女と一緒になる君はただ、諾々と従っている。 長兄が急逝し、継ぐはずもなかった家業を継がねばならぬ身になった君は、 どんなにか口惜しい思いをしていることだろう。 東京での君の活躍は、前途洋々たるものと聞いていた。 君の才能を惜しんで上京を勧めたのは僕だったから、 僕は我が事のように嬉しかったものだ。 勘当同然に出て行った君だから、おおっぴらには喜べはしなかったが。 その僕は今、やはり密かに喜んでいる。 生涯、君の兄をたすけることに仕えるはずが、君をたすけることになった。 我らが生業を君と一緒にやる。一生、君に付き従う。 夢とも思った秘めた望みが、いまうつつのものとなる。 僕は、君を僕のものとする。 絵の道を断腸の思いであきらめる君に、 好きでもない女と祝言を挙げる君に、 この暗い田舎に潰れて埋もれていこうとする君に、 もはや僕は何も言わぬ。 君の妻となる女は知らぬ。君がどんな閨を過ごすのかも知らぬ。 生涯、君に最も近い場所で一番長い時を過ごすのは、僕だ。
親の言いなり攻めとそんな攻めに対して何も言わない受け ---- 仕方がない、とすら君は言わぬ。 志半ばに帰郷し、親の決めた女と一緒になる君はただ、諾々と従っている。 長兄が急逝し、継ぐはずもなかった家業を継がねばならぬ身になった君は、 どんなにか口惜しい思いをしていることだろう。 東京での君の活躍は、前途洋々たるものと聞いていた。 君の才能を惜しんで上京を勧めたのは僕だったから、 僕は我が事のように嬉しかったものだ。 勘当同然に出て行った君だから、おおっぴらには喜べはしなかったが。 その僕は今、やはり密かに喜んでいる。 生涯、君の兄をたすけることに仕えるはずが、君をたすけることになった。 我らが生業を君と一緒にやる。一生、君に付き従う。 夢とも思った秘めた望みが、いまうつつのものとなる。 僕は、君を僕のものとする。 絵の道を断腸の思いであきらめる君に、 好きでもない女と祝言を挙げる君に、 この暗い田舎に潰れて埋もれていこうとする君に、 もはや僕は何も言わぬ。 君の妻となる女は知らぬ。君がどんな閨を過ごすのかも知らぬ。 生涯、君に最も近い場所で一番長い時を過ごすのは、僕だ。 ---- [[親の言いなり攻めとそんな攻めに対して何も言わない受け>14-069-1]] ----

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