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敏腕秘書とアラフォー社長
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■今日のスケジュール
09:10~社内朝礼
10:00~経営報告会議
10:15~新商品開発会議
11:30~コラボ企画の業者来客、打ち合わせ
…
誠は安堵していた。
予定していたスケジュールにそって物事が進むと、自分が肯定されたような、間違ってなかったと感じるのだ。
社長はもともと、いわゆる親方というタイプで、
熱くなるときはとことん熱くなるし、すぐ笑いすぐ泣き、人情に厚い。
そんな優しい人柄のせいもあって、仕事の依頼は多いのだが…
頼まれて利益の低いうま味のない仕事をしたり、
「不況」という言葉を巧みに操る下請けにつけこまれた取引を多くしていた。
社長が僕の勤めていた経営コンサルタントに訪れた時、あまりに途方に暮れた顔をしていたので、思わず笑ってしまった。
「今まで仕事は、一人でやり繰りしていたんだ」
「でもそれが、間違っていたのかな」
「俺はこれから、社員にたくさん保障をしないといけない」
「どうか助けて下さい」
いかにもガテンな若社長は、そう言うとぺこ、と頭を垂れた。
それから、誠は現地に出向しての契約のテコ入れが始まった。
経営戦略・下請と正規金額での再契約・人事の適性配置など…
誠の仕事が順調に進めば進むほど、敵も増えていく。
「あいつにリストラされるんじゃね?」と噂する従業員
「君じゃなくて、社長と直接話がしたい」という、付き合いの長い業者。
それらをなだめすかして調整していくうち、徐々に経営は軌道修正していった。
ついに出向最後の日。
「社員と会社を助けてくれてありがとう」
「業者を助けてくれてありがとう」
「誠がしてくれたことは、今までの僕に足りなかったものばかりだ」
たくさんのありがとうを言われ、思わず目頭が熱くなった。
「今日で最後だなんて思いたくないなぁ、これから不安だよ」
そう言って秘書の求人を検討する社長に、
「あなたなら大丈夫です。あ、人事について少しお話が…」
そう言いながら、誠は後ろ手に持った履歴書を握りしめた。
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