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801チンピラ
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薄暗い倉庫内で、猿轡を噛まされ拘束されている青年をいかにもチンピラ然とした男複数人が取り囲んでいる。
倉庫は現在使われていないのかガランとしており、端におかれたストーブ以外の明かりはなく、その一画だけオレンジに染まっていた。
「こいつ男のくせに色っぽいよな…」
「なあ…やっちまわねえ?」
ただ監禁することに飽いた男たちは、赤く欲望に染まった目を光らせ、のそりと青年に群がる。
抵抗し疲れた青年は、涎にまみれた轡を噛み締め更なる屈辱の予兆に身を屈めた。
乱暴に口を開放されたかと思うと顎をつかまれ、饐えた臭いのする赤黒いペニスを口腔にねじ込まれる。
噛み切ってやろうと必死に顎に力を入れるも、長時間の拘束で下顎に感覚が戻っておらず、また相手も場数を踏んでいるのであろう、
青年の顎を固定したまましゃぶらせることはせず、青年の顎を固定したうえで揺すぶり、オナホールのように扱い始めた。
「誰かゴム持ってねぇ?」
「マジ?やっちゃうの?」
ケラケラと笑う声とともに、俺持ってるぜー、俺も俺もーと言う声が聞こえる。
ジーンズと下着を一気に下げられ、思わずゾっと鳥肌が立つ。
「キレーな尻してんじゃん、やっぱり男とやり慣れてるやつは違うねー」
からかうような声が聞こえ、薄い皮膜に包まれたものが尻穴につきたてられる。
ずるりと入った異物になんともいえない圧迫感がせりあがる。
ぐねぐねと不快な動きをした後に指は抜けていき、一拍おいて男たちが下卑た笑い声をあげた。
「なんだぁ?今日デートだった?浣腸済みとはご大層なこったな」
心底馬鹿にしたような笑いを受け、青年はまた涙が頬を伝うのを感じた。
「じゃ、準備万端ということで遠慮はしねーから」
「据え膳じゃあしかたねーよな」
尻を掴まれたとき、口の中に苦いものが広がった。
ぐにゃりと柔らかくなった物が最後まで中に出してしまおうと咽喉奥まで突っ込まれた後、間髪を入れずに新しい男根を含まされる。
内臓を下から押し上げられるような衝撃と、肛門が引き連れる傷みに青年の腰がのたうつ。
胃からすっぱいものがこみ上げるが、口も自由にならない。
顎を掴み直された瞬間に、視線が横にそれると、四つ這いにされ前後から犯されるという狂態をしっかりと携帯の動画に撮られていることを知ってしまう。
「ふ…っう、ぐぅ…っぷ」
「…は…こいつ、女よりいいぜ…!」
もはや、男達にとって青年は欲をはきだすための肉筒となっていた。
間断なく続く責めに、青年は思考を停止し、ただこの時が終わるのを待っていた。
「貴様ら!何をしている!」
「あァ?」
巨大なシャッターの横にある非常口から、懐中電灯の光輪が近づいてくる。
携帯で撮影をしていた男と一度青年の口に吐き出したチンピラが油断無く揺れながら近づいてくる光に近寄っていった。
「すんません、チョット寒かったんで勝手に中入っちゃいましたァ」
「直ぐ出て行きますんで」
しおらしい事を言いながらも、それぞれ特殊警棒を振り上げ近寄ってきた人物に暗闇から襲い掛かる。
腹部と頚部にめり込む筈だった警棒は空を切り、チンピラたちはもつれ合うように転倒した。
闖入者は歩く速度を速め、ストーブへ近づいていく。
「遅かったじゃねーか、ごちそーさま」
冷たいコンクリートの床に投げ出された青年は体液塗れの無残な状態だった。
周囲にいる男達は既に身づくろいをしており、より青年の惨めさが引き立っていた。
カシュ、と音が鳴り侵入してきた男がスプレーをストーブに向けて噴射する。
途端に火柱が立ち、雑多に放り出してあった袋やゴミに引火していく。
慌てたチンピラたちの隙を突き、スプレーを火柱に放った男は青年を自分のジャンパーでくるみ、倉庫を脱出した。
エンジンをかけたまま止めてあった車の後部座席に青年を寝かせ、自身もすばやく乗り込むとアクセルを踏み込んだ。
無人の倉庫街を飛ばし、そのまま高速に入り、隣県のホテルに滑り込むまでスピードを緩めなかった。
息をつめて運転していた男は、車のキーを回すと、深いため息を吐いてハンドルにもたれかかった。
その様子を後部座席からバックミラー越しに見ていた青年は、僅かに体を起こし凝り固まった頬をどうにか動かし、笑みを浮かべた。
「おれは…だいじょうぶだよ」
「大丈夫なわけあるか!畜生!」
ミラー越しに視線が合う。
青年が半裸であることを思い出し、俄かに正気を取り戻した男は、準備していた服を後部座席に投げた。
「取り合えず、それを着てくれ。部屋を取って風呂に入らないと」
このままではどうしようもない。お互いの気持ちも、何もかもが壊れてしまうかしまわないかも。
「ねーこのエロビ需要あんの?」
ぶつりとテレビの電源を落とし、眉間にしわを寄せてどてらを着た大学生が振り向く。
視線の先でぬくぬくとコタツに入っているのは、画面の中で一番苛烈に青年を責めたてて火達磨にされた男だ。
「ああいうベタベタな展開はいつだって好かれるんだよ」
「ある特定の女性グループに受けるドラマ仕立てのゲイビデオ…ね」
どてらの長い袖からちょっとだけ手を出し、派手派手しいDVDのパッケージをいじる。
『レイプ!救いの手は間に合わずあわれ青年散る…初回特別映像特典、消毒ホテルH編つき!』等と仰々しく煽ってあるのが目に毒だ。
「ねー、普通のテレビとか舞台のエキストラだけに仕事絞ってよー」
「最近チンピラ顔って仕事少ないんだよ」
コタツに入って猫に絡まれながらうとうとしてる男は、平和極まりない状態でも悪役臭さを漂わせている。
その時、呼び鈴が来客を告げた。
「あけーてー!鍋の材料もってきたよー!」
お互いコタツから出たくない恋人たちは、目線でしばらく争った後、うなずいた。
「じゃーんけーん」
「ぱー」
「ぐー」
口じゃんけんだ。負けたのはチンピラ然としたほうで、汚物を消毒しそうな顔をして玄関に向かう。
安っぽいアパートの鍵を開けると、鍋の材料を抱えたスーツの男と小柄な青年が部屋になだれ込んできた。
「寒い寒い、こたつこたつ!」
「…邪魔する」
勝手知ったるなんとやら、とのごとくずかずかとあがりこみ、二人ともこたつにもぐりこんでしまう。
「何ー、まだ夜の七時だよーこのビデオ見てたのー?」
じゃましちゃった?とにやりとする小柄な青年をチンピラが殴って黙らせる。
「お前も自分があられもない姿になってるDVD、よく振り回せるよな」
「だって俺の仕事だもん、恥じることないし、ね?」
同意を求められたスーツの男がわずかに顎を引く。
そうなのだ、この小柄な青年こそさっきまで画面の中でいたぶられていた張本人なのである。
「チンピラの家に平然と上がりこむやられ役…」
「…現実と映像をごっちゃにしてはいけない…」
軽くめまいを覚えたところに、スーツ野郎が上着を脱ぎながら突込みを入れる。
チンピラ面の彼がいつか立派な役者になり、こんな混沌が起こらないようになることをいのりながら、大学生はどてらのなかに首をすくめた。
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[[敏腕秘書とアラフォー社長>17-799]]
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