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思い出のなかに生きる人と見守る人 ---- 会話の途中で目が不自然に揺れたのに気づいてしまった。 テーブル横の通路をトレーを持った集団が通りすぎる。 夕方のファーストフード店。学生らしき客が多く、店内は雑然としていた。 この席もそうだった。 確か、クラス委員長の山本の彼女が可愛いらしいという会話だった。 「で、可愛いって何系よ?」 何も気づかない振りをして話の続きを促す。 「ん、あー…、あっ○ーな?らしい」 「マジか!それは意外なとこきたな」 だよな、と笑う。さっきの一瞬なんてなかったことになった。 これでいいんだと安心する。 たまに見せる表情に本当は気づきたくなかったんだ。 いつも同じ他校の制服を目で追うことも、その似合わないピアスを触る癖も知ってる。 ワックスを変えた時に微妙に避けられていたのも分かってた。 だけど理由は知らない。知りたくもない。 なぁ、もっとくだらないことを言って笑おうぜ。 その方がお前には合ってると思うんだ。 ポテトをかじりながら山本尾行計画を立てるお前が、そんなお前が好きだよ。 ----   [[バレエダンサー×ストリートダンサー>17-429]] ----
思い出のなかに生きる人と見守る人 ---- 会話の途中で目が不自然に揺れたのに気づいてしまった。 テーブル横の通路をトレーを持った集団が通りすぎる。 夕方のファーストフード店。学生らしき客が多く、店内は雑然としていた。 この席もそうだった。 確か、クラス委員長の山本の彼女が可愛いらしいという会話だった。 「で、可愛いって何系よ?」 何も気づかない振りをして話の続きを促す。 「ん、あー…、あっ○ーな?らしい」 「マジか!それは意外なとこきたな」 だよな、と笑う。さっきの一瞬なんてなかったことになった。 これでいいんだと安心する。 たまに見せる表情に本当は気づきたくなかったんだ。 いつも同じ他校の制服を目で追うことも、その似合わないピアスを触る癖も知ってる。 ワックスを変えた時に微妙に避けられていたのも分かってた。 だけど理由は知らない。知りたくもない。 なぁ、もっとくだらないことを言って笑おうぜ。 その方がお前には合ってると思うんだ。 ポテトをかじりながら山本尾行計画を立てるお前が、そんなお前が好きだよ。 ----   [[思い出のなかに生きる人と見守る人>17-419-1]] ----

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