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絶体絶命 ---- リビングのソファでうたた寝をしていて、気付いたら弟にのしかかられていた。 突然のことに動揺しつつも、必死になって弟を押し返そうとする。 たんなる悪戯だとは思わなかったし、思えなかった。 だって、最近弟の俺を見る目が異様に熱っぽかったのを知っているから。 それでも気の所為だと自分に言い聞かせて、知らないふりを決め込んできた。 いくら義理だっていっても、俺にとっては可愛い(例え体育会系で俺より身体が大きくてもだ)弟なんだから。 だけど、弟はもう限界だったみたいで。 だからこうして俺の上に覆いかぶさっているんだろう。 「やめろ、馬鹿なことをするな!」 「馬鹿なことじゃない!しょうがないだろう、ずっと兄さんが好きだったんだ」 いつもは兄貴なんて可愛いげのない呼び方しかしてこないくせに、どうして今、兄さんなんて呼ぶんだ。 甘えればこっちが言うことを聞くとでも思っているのか。 「俺達は兄弟なんだぞ!?血の繋がりなんてなくても、お前は弟なんだ。それ以外の感情なんて持てない奴に組み敷かれてたまるか」 「ごめん、でももう無理だ。今日だけでいいから、犬にでも噛まれたと思ってくれればいいから」 ふざけるな、と言おうとしてそれを唇に防がれた。 半開きの口に容赦なく弟の舌が入り込んでくる。 そのまま暫く口内を蹂躙され、唇が解放されたときにはシャツのボタンが全て開けられていた。 冗談じゃない。このままでは本当にやられてしまう。 「おい!いい加減に……」 しろ、とまでは言えなかった。弟の目に涙が浮かんでいたから。 なんで泣いているんだとか、泣きたいのはこっちの方だとか、言いたい言葉色々あったが全て喉の奥に引っ込んでしまった。 このままでは、俺にもこいつにも後悔しか残らないとわかっているのに、もう抵抗なんて出来そうにもなかった。 ----   [[絶体絶命>17-239-1]] ----

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