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新米保育士×シングルファーザー ---- 「くっらえー、フォースクラァーッシュ!」 「い、痛い痛い!」 うむ、見事な飛び蹴りだ。さすが俺の息子。 「見てないで助けてくださいよ!」 お前な、いくらペーペーとはいえまがりなりにも保育士だろう。子供に蹴られたくらいで泣いてどうするんだ。 「今の蹴りは、もう少し着地を華麗にすると完璧だった」 「はーい!」 「あおった!? 息子の暴力行為あおったよこの親! ……ぎゃー!」 お前バカだろ。その前モーションでラリアット飛んで来るの見え見えじゃんか。よけろよな。 こいつ絶対保育園でも子供にボール投げの的とかごっこ遊びの悪役にされてる。 体細いし顔も優しそうだし、カモだよな。いやまあ、実際優しいけどな。 「二人とも、そこまでだ。夕飯できたぞ」 「あ、はーい! 僕運びます!」 ボロボロになりながらも、あいつはすぐにすっ飛んできて食卓の準備をはじめた。 息子も、ちゃんと箸を並べたりとお手伝いをしている。いい子だ。 「わ、ロールキャベツだ。僕これ好きなんですよね」 「パパが今日久しぶりに兄ちゃんが遊びに来るからって……ナンデモナイデス」 うん、ちゃんと空気も読めるようになったんだね。パパは嬉しいよ。 「そういえば、ここしばらくはなかなか会えなかったっけ。忙しくって」 あいつは納得したようにうなずく。……お前はもう少し空気読め。5歳児に負けてどうする。 「ごちそうさま!」 「ごちそうさまでした。おいしかったです」 なんだかんだで、和やかに夕食の時間が終わる。 「あ、僕食器洗いますよ」 「それは俺がやる。お前らはさっさと風呂入れ。汗臭い」 二人を風呂場に押し込んで、ふっとため息をつく。 久しぶりだっていうのに、まずは子供かよ。ないがしろにしたら即刻たたき出すんだが、それでも腹は立つ。 まあいい。まだ夜は長いしな。 二人ぶんの着替えを用意して、脱衣所に置いておく。水音にまぎれて、二人の会話が聞こえてきた。 「パパねー、結構さみしがってたんだよー。カレー大量に作ったりとか」 「カレーは日持ちするからね。バリエーション出せるから飽きないし」 「カレンダー見ながらブツブツ言ってたり」 「お仕事が忙しいとそうなるんだよ。休みが欲しい~ってね」 「用もないのにドア開けてみたりとか、ポストのぞいたりとか、メールチェックしたりとか」 「それ、寂しがるって言うかなぁ」 「だって、ママがいなくなってもそんなことしなかったもん、パパ」 ……お前ら、KY罪と個人情報漏洩罪でおしおきな。 プチッとお風呂場の電気を切ると、風呂場から悲鳴が上がった。 ----   [[欲求不満>18-349]] ----

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