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馬鹿が風邪ひいた ---- 友達が風邪ひいたみたいでさ。 一人暮らしだから、と言ったコイツの手には、救援物資と思われる物が入っているスーパー袋が下がっていた。 「風邪なんか引かないような馬鹿なんだけどな。」 困った様に、でもどこか嬉しそうに笑って緩む頬を夜の冷たい風が撫でていく。 風邪っ引きの病人の世話がそんなに楽しいのかよ。 そのトモダチとやらに会えるのがそんなに嬉しいのかよ。 そんな言葉が喉まで上がってくる。 ああ、この道を通らなきゃ良かった。 そしたらコイツに出くわさなかった。 嬉々として他のヤツの看病に向かう姿など、見なくて済んだ。 「んじゃあオレそろそろ行くわ。アイツ瀕死みたいだし。」 踏み出された一歩が人通りの少ない道に音となって響く。 足音はゆっくりゆっくり遠ざかり、何故か途中で止まった。 「…?」 振り返ると、遠い視線の先でアイツが声を上げた。 「お前も風邪引くから早く帰れ!最近の風邪は馬鹿にも容赦ねーぞ!」 遠目にもわかるくらい笑って手を振る姿にぐっと胸が熱くなる。 やっぱり好きだ、渡さない、渡したくない。 「もしオレが風邪引いたら、そんときゃ看病頼むぜ!」 わずかな期待を数メートル先に投げかけた。 ----   [[馬鹿が風邪ひいた>18-299-1]] ----

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