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お前ももう成人か・・・ ---- 「お前ももう成人か…」 今日は俺の誕生日。 例年通り、俺の家でささやかな誕生日パーティ(のようなもの)を開いていた。 (パーティ、とは言ってもたったの二人きりで、いつもの質素な夕食にケーキが加わるだけだが) そのとき、TVを見ながらコロッケを食べていた俺の顔を見て、しみじみとこいつがそう言ったのだ。 「あーうん。」 いまさら何言ってんだと思いつつ、TVから、こいつの顔に視線を移す。 「お前と知り合ってから、もう8年になるんだな。」 懐かしそうに、目を細めて言った。何かこいつおっさんっぽいよなぁ。まだ22なのに。 「あーそうだな。あの時、お前も俺もまだ中学生だったもんな。」 学ランを着て、学校帰りにそのまま俺の家によく来てたっけ。 こいつは中3で、受験勉強が忙しいっつー時だったのに、 中学に入学してから勉強がついていけなくなった俺に、辛抱強く、方程式やら現在進行形やらを教えてくれたな。 「懐かしいなあ。あのころは、こういう関係になるなんて夢にも思っていなかったなあ」 そういって、こいつはビールを一口だけ飲んだ。 飲み物を飲むときに、どんなにのどが渇いていてもちまちま飲む癖はぜんぜん変わってない。 「俺だって、近所にすんでる優しい兄ちゃんとヤることになるとは思ってなかったよ。」 そういう言い方するなよ、と少し困ったように笑った。 そのころから、こいつの、ちょっと困惑したような、はにかんだ笑顔が好きだった。 こんなに一緒にいるのに、昔からずっと知っているのに、どうしていまだに飽きることなくこんなに好きなんだろう 「…あのころの…まだ、お前に片思いしてたころの自分に今のことを伝えたら、嬉しすぎて泣きそうかも」 俺もだよ、と出掛かった言葉を押さえ、からかうように俺が笑った。 ----   [[破滅に向かう友人を止めようとする男>18-169]] ----

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