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片言の日本語 ---- 小柄な身体をころりと倒して、彼は読んでいた雑誌を胸元に抱え込む。 こちらを見上げてくる瞳を、「ねずみのようでカワイイです」と言えば「助動詞下手だなお前」 とさらりとかわされた。 「ねずみ、好きか?」 「スキです」 彼は雑誌をページをちらちらと見やりながら、 「お前のスキデス、トキですに聞こえるぞ」 「ツキです?」 私の発音に、彼はむっと顔をしかめる。 君は結構発音に煩いけど、私だって君の愛してるは今でもI rub youにしか聞こえないよ。 すーはこう、と口をすぼめて見せる君の唇をさっと掠めとる。 「チューはこう」 「…………!!」 無言で手に持った雑誌をぶん投げた彼は、ベッドを陣取ってふて寝を始める。 私は頭を掻きながら雑誌を持ち上げて、手持ち無沙汰にぺらぺらと捲った。 一つのページに、几帳面な彼らしく綺麗に折り目が付いている。 「ねずみーらんど行くですか?人混み嫌いなのに」 「行かねーよ!どうせお前の母国にもあんだろ!」 ちょっと涙目の彼は、黒い瞳にふるふると涙を溜めている。 ……ああ、私と、だったのか。 「君と、君の国のねずみーらんど、行きたいです」 その身体を抱きこむと「……今度の日曜な」とか細い声が返ってきた。 ---- [[世界の終わりの高校生>17-929]] ----

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