「15-729-2」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

15-729-2」(2009/03/29 (日) 18:12:00) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

はじめてのおつかい ---- 豚肉と、玉ねぎと、福神漬け。 …たったそれだけの買い物でも、その時の俺にとっては大冒険だった。 一緒に遊んでたマサキを無理矢理引っ張ってって、近所の八百屋に行ったら玉ねぎがなくて、 子供の足で歩いて20分かかるスーパーに行ったら、帰りに思いっきり道に迷って、 こけて、袋破れて、玉ねぎ転げて、悔しくて、…すっげえ泣いたのを覚えてる。 マサキが服の裾で玉ねぎ抱えながら、もう片手で俺の手をぎゅっと握ってくれて、 それが痛いけど暖かかった。とにかく心強かった。 でもマサキは口ひんまげて、泣くの必死で堪えてて、 …家の灯りが見えた途端、俺より大泣きしてたのも、覚えてる。 *** 「絶対欲しいの何よ」 「えーと、福神漬け、肉、…豚肉安いからそれで。あと玉ねぎ」 「了解。…マジで?」 マサキが挙げた3つは、見事にあの時と被ってた。 「わざとじゃねえだろな」 「わざとじゃねえですよ。…いやホントだって、偶然」 笑いを噛み殺しながら、マサキは続ける。 「道に迷うなよ」 「迷わせたのお前。俺は大丈夫ですー」 「コケても泣くなよ」 「はいはい」 「ホントかねえ。俺一緒じゃないよ、手繋いでやれないよ」 「いらねーよ、バカ」 ニヤニヤするマサキに苦笑しつつ、俺はキーを手に取って、 「んじゃ帰ってきたら繋いでね」 「へ」 不意打ちくらってぽかんとするアホ顔に見送られながら、新居のドアを閉めた。 …んじゃ、こいつと暮らしてから初めてのおつかい、行ってきますかね。
はじめてのおつかい ---- 豚肉と、玉ねぎと、福神漬け。 …たったそれだけの買い物でも、その時の俺にとっては大冒険だった。 一緒に遊んでたマサキを無理矢理引っ張ってって、近所の八百屋に行ったら玉ねぎがなくて、 子供の足で歩いて20分かかるスーパーに行ったら、帰りに思いっきり道に迷って、 こけて、袋破れて、玉ねぎ転げて、悔しくて、…すっげえ泣いたのを覚えてる。 マサキが服の裾で玉ねぎ抱えながら、もう片手で俺の手をぎゅっと握ってくれて、 それが痛いけど暖かかった。とにかく心強かった。 でもマサキは口ひんまげて、泣くの必死で堪えてて、 …家の灯りが見えた途端、俺より大泣きしてたのも、覚えてる。 *** 「絶対欲しいの何よ」 「えーと、福神漬け、肉、…豚肉安いからそれで。あと玉ねぎ」 「了解。…マジで?」 マサキが挙げた3つは、見事にあの時と被ってた。 「わざとじゃねえだろな」 「わざとじゃねえですよ。…いやホントだって、偶然」 笑いを噛み殺しながら、マサキは続ける。 「道に迷うなよ」 「迷わせたのお前。俺は大丈夫ですー」 「コケても泣くなよ」 「はいはい」 「ホントかねえ。俺一緒じゃないよ、手繋いでやれないよ」 「いらねーよ、バカ」 ニヤニヤするマサキに苦笑しつつ、俺はキーを手に取って、 「んじゃ帰ってきたら繋いでね」 「へ」 不意打ちくらってぽかんとするアホ顔に見送られながら、新居のドアを閉めた。 …んじゃ、こいつと暮らしてから初めてのおつかい、行ってきますかね。 ---- [[何も伝えられないまま>15-739]] ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: