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ツンツンデレなご主人様×ベタ惚れどMな奴隷
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僕はあの方を恨んでなどいません。
あの方は、素晴らしい方です。
いつも堂々とされていて、たくさんの人たちに慕われていました。
学の無い僕にはよくわかりませんが、中央では大事なお役目を任せれていらっしゃったとか。
……ああ、そうなんですね。取締りの。それは大変なお仕事ですね。
やはり、立派な方なんだ。なんだか嬉しいです。
声が、よく通るんですよ。少し低めの、響くような声。
お聴きになったことがありますか?……そうですか。
厳しい方でもありましたから、叱られるときはそのお声に身が竦んだものです。
他の下男などは「まさに落雷のごとく」と震えていました。
でも僕は、叱られることすら嬉しかった。
そのときばかりは、あの方は僕だけを見てくださっているのですから。
どうかしましたか、そんな顔をされて。可笑しいですか?
いつから?……ええ、もちろん憶えています。
あの方に初めてお会いしたのは、雨の日でした。
泥だらけで転がっていた僕を見つけ、馬に乗せて、屋敷へ連れて帰ってくださった。
僕の顔が気に入ったのだと、そう仰いました。そのときは冗談だと思ったのですけどね。
伽に呼ばれたのは、拾われた翌日でした。
他の者は、僕を哀れだと言いましたが、そんなことはありません。あの方は優しい。
恐い顔をされたり、冷たいことを仰られたり、手を上げられたりしたことはありましたが
それはいつも戦の前で気が昂られていたからで、その後は必ず労わってくださいました。
本当に酷いことをされた覚えはありません。
僕の頬を撫でてくださったのです。
ここです、左の頬。手のひらをこんな風にして。
本当はね、五本の指の痕が残っていたのです。捕まったときに拭われたせいで消えてしまいましたけど。
あんなに優しく撫でていただいたのは初めてでした。
褥の中ですらそんなことはありませんでしたから。とても、とても嬉しかった。
ええ、僕はあの方を恨んではいません。
さっきから何度もそう言ってるじゃないですか。
僕は、あの方をお慕いしています。今もずっと。
……これでは動機になりませんか?
ツンツンデレなご主人様×ベタ惚れどMな奴隷
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僕はあの方を恨んでなどいません。
あの方は、素晴らしい方です。
いつも堂々とされていて、たくさんの人たちに慕われていました。
学の無い僕にはよくわかりませんが、中央では大事なお役目を任せれていらっしゃったとか。
……ああ、そうなんですね。取締りの。それは大変なお仕事ですね。
やはり、立派な方なんだ。なんだか嬉しいです。
声が、よく通るんですよ。少し低めの、響くような声。
お聴きになったことがありますか?……そうですか。
厳しい方でもありましたから、叱られるときはそのお声に身が竦んだものです。
他の下男などは「まさに落雷のごとく」と震えていました。
でも僕は、叱られることすら嬉しかった。
そのときばかりは、あの方は僕だけを見てくださっているのですから。
どうかしましたか、そんな顔をされて。可笑しいですか?
いつから?……ええ、もちろん憶えています。
あの方に初めてお会いしたのは、雨の日でした。
泥だらけで転がっていた僕を見つけ、馬に乗せて、屋敷へ連れて帰ってくださった。
僕の顔が気に入ったのだと、そう仰いました。そのときは冗談だと思ったのですけどね。
伽に呼ばれたのは、拾われた翌日でした。
他の者は、僕を哀れだと言いましたが、そんなことはありません。あの方は優しい。
恐い顔をされたり、冷たいことを仰られたり、手を上げられたりしたことはありましたが
それはいつも戦の前で気が昂られていたからで、その後は必ず労わってくださいました。
本当に酷いことをされた覚えはありません。
僕の頬を撫でてくださったのです。
ここです、左の頬。手のひらをこんな風にして。
本当はね、五本の指の痕が残っていたのです。捕まったときに拭われたせいで消えてしまいましたけど。
あんなに優しく撫でていただいたのは初めてでした。
褥の中ですらそんなことはありませんでしたから。とても、とても嬉しかった。
ええ、僕はあの方を恨んではいません。
さっきから何度もそう言ってるじゃないですか。
僕は、あの方をお慕いしています。今もずっと。
……これでは動機になりませんか?
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[[養い親>15-799]]
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