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「死ぬ気でがんばります!」 ---- 「えーと、ローションと、ワセリンと……ああ、先輩。スタミナドリンクなんてどうですか?」 「スタミナドリンクは要らない」 コン、コン、コン、と卓の上に置かれた物を見て、思わず俺は脱力してしまった。 「そうですか?わかりました!」 色気のかけらもない夜だ。 まあ、こいつにも俺にもそんなものを求めるのは酷だ。 「聞いていますか?先輩」 「ああ、聞いている」 「僕、今夜のためにいろいろ勉強して来たんです。本とか、ビデオとか」 「そうか」 「それもこれも、今日の初体験を成功させるためです!」 目を輝かせ、こぶしを握りつつ奴は宣言した。 「今まで散々でした……特にファーストキス」 「ああ」 確かに。歯もぶつかったわ、舌は噛むわで大変だった。 俺の人生の中では最悪の部類に入るキスだった。 「だから、今日は」 「先輩が忘れられないような、すばらしい初体験になるように死ぬ気でがんばります!」 にかっ、と奴は心底うれしそうに笑った。 こいつの見ていると、自分もまんざらではない気分でいることに気がついた。 俺はこいつの笑顔は好きだ。 空回りしがちな愛情も嫌じゃない。 俺はこいつが好きだ。 俺は奴の頭を撫でて、そっと耳打ちした。 「じゃあ、お互いに頑張るとするか」 「は、はいっ!」 奴は顔を真っ赤にしながら笑った。 「ええっと、僕が先輩のズボンを脱がすべきですか?それとも上から脱がせたほうがいいでしょうか?」 「いちいち俺に聞くな。好きにしろ、好きに」 「わかりました!」 おそまつさまでした。 ---- [[手を差し伸べる君>16-209]] ----
「死ぬ気でがんばります!」 ---- 「えーと、ローションと、ワセリンと……ああ、先輩。スタミナドリンクなんてどうですか?」 「スタミナドリンクは要らない」 コン、コン、コン、と卓の上に置かれた物を見て、思わず俺は脱力してしまった。 「そうですか?わかりました!」 色気のかけらもない夜だ。 まあ、こいつにも俺にもそんなものを求めるのは酷だ。 「聞いていますか?先輩」 「ああ、聞いている」 「僕、今夜のためにいろいろ勉強して来たんです。本とか、ビデオとか」 「そうか」 「それもこれも、今日の初体験を成功させるためです!」 目を輝かせ、こぶしを握りつつ奴は宣言した。 「今まで散々でした……特にファーストキス」 「ああ」 確かに。歯もぶつかったわ、舌は噛むわで大変だった。 俺の人生の中では最悪の部類に入るキスだった。 「だから、今日は」 「先輩が忘れられないような、すばらしい初体験になるように死ぬ気でがんばります!」 にかっ、と奴は心底うれしそうに笑った。 こいつの見ていると、自分もまんざらではない気分でいることに気がついた。 俺はこいつの笑顔は好きだ。 空回りしがちな愛情も嫌じゃない。 俺はこいつが好きだ。 俺は奴の頭を撫でて、そっと耳打ちした。 「じゃあ、お互いに頑張るとするか」 「は、はいっ!」 奴は顔を真っ赤にしながら笑った。 「ええっと、僕が先輩のズボンを脱がすべきですか?それとも上から脱がせたほうがいいでしょうか?」 「いちいち俺に聞くな。好きにしろ、好きに」 「わかりました!」 おそまつさまでした。 ---- [[手を差し伸べる君>16-219]] ----

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