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初恋の女の子(仮)は現在身長180cmの男前 ---- 「本日のゲストは雑誌のボーイズコンテストで入賞され、 現在テレビやドラマで大活躍中の鈴木琢磨さんです!」  拍手の指示がスタッフから出て、俺は幼なじみの登場に拍手する。 馬鹿馬鹿しいと思いつつも、憧れていたテレビ業界の雰囲気はやっぱりわくわくする。 「背がお高いですね。身長おいくつなんですか?」 「180㎝に少し足りないくらいだと思います」 「本当に素敵。人気があるのもわかりますね」 「いえ、そんな」 「質問のFAXがこんなに来ているんですよー。いいですか?」 「どうぞ」 「デビューのきっかけは」 「幼なじみが応募していて、同じ業界に行きたくて」  その幼なじみは、今日は観客になってますー。よくある話ですー。 「初恋はいつ頃ですか?」 「3才くらいじゃないかな。大人になったら結婚しようねなんて言って」 「あらー」 「今でも大好きなんですけど、未だに結婚してくれません。結婚詐欺ですよねコレ」  会場から笑い声が聞こえる。俺は笑えないけど。 「実はですね鈴木さん! 今、この会場に初恋の人をお呼びしています!」 「え?!」  俺は思わず立ち上がった。 「嘘ですー」  この司会者、覚えてろよ。 「男性まで心配しちゃったみたいですよ。男性ファンも熱烈なんですね」  俺は平静をよそおって座り直した。琢磨は笑いをかみ殺していて、 しばらく会話にならなくて司会者が困っていた。ざまあみろ。  収録が終わり、琢磨が俺を見つけて駆け寄ってきた。 「ゆーちゃん!」 「げっ」 「待っててって言ったのに。食事にいこうよ」 「おまえはもう有名人なんだから、俺と気安く…」 「ゆーちゃんと遊べないなら仕事やめる」 「簡単に言うなよ。俺はなれなかったんだから」 「なれなかったってなんで決めるのさ? わからないだろ?」  俺をよく誘うのは、業界の人にさりげなく紹介する為だろうと薄々気がついている。  そんな気を遣われてるのも、差を感じて苦しくなる。  見上げると少し口髭の生えたワイルドな横顔が見える。 昔は可愛かったのにな。ピンクの服着て、花冠なんかつけて。 プロポーズなんかもしましたよ。あああああ、黒歴史。 「ゆーちゃん。早く結婚して」 「男同士は結婚できません」 「外国に行ってもいいよ」 「絶対にありえない」 「じゃ、一緒に暮らそう」 「なんで俺が一緒に暮らさないといけないんだよ」 「俺と暮らしてたら、寝坊しないよ」 「うっ」 「食生活だって今よりよくなると思う」 「……なんでおまえが女じゃなかったんだろうな。それは本当に思うよ」 「ゆーちゃん」 「なんだよ!」 「大好き」  満面の微笑みをふりまきながら俺の手をぎゅっと握る。  こういう所は昔と変わってないから嫌になるぜ。まったく。
初恋の女の子(仮)は現在身長180cmの男前 ---- 「本日のゲストは雑誌のボーイズコンテストで入賞され、 現在テレビやドラマで大活躍中の鈴木琢磨さんです!」  拍手の指示がスタッフから出て、俺は幼なじみの登場に拍手する。 馬鹿馬鹿しいと思いつつも、憧れていたテレビ業界の雰囲気はやっぱりわくわくする。 「背がお高いですね。身長おいくつなんですか?」 「180㎝に少し足りないくらいだと思います」 「本当に素敵。人気があるのもわかりますね」 「いえ、そんな」 「質問のFAXがこんなに来ているんですよー。いいですか?」 「どうぞ」 「デビューのきっかけは」 「幼なじみが応募していて、同じ業界に行きたくて」  その幼なじみは、今日は観客になってますー。よくある話ですー。 「初恋はいつ頃ですか?」 「3才くらいじゃないかな。大人になったら結婚しようねなんて言って」 「あらー」 「今でも大好きなんですけど、未だに結婚してくれません。結婚詐欺ですよねコレ」  会場から笑い声が聞こえる。俺は笑えないけど。 「実はですね鈴木さん! 今、この会場に初恋の人をお呼びしています!」 「え?!」  俺は思わず立ち上がった。 「嘘ですー」  この司会者、覚えてろよ。 「男性まで心配しちゃったみたいですよ。男性ファンも熱烈なんですね」  俺は平静をよそおって座り直した。琢磨は笑いをかみ殺していて、 しばらく会話にならなくて司会者が困っていた。ざまあみろ。  収録が終わり、琢磨が俺を見つけて駆け寄ってきた。 「ゆーちゃん!」 「げっ」 「待っててって言ったのに。食事にいこうよ」 「おまえはもう有名人なんだから、俺と気安く…」 「ゆーちゃんと遊べないなら仕事やめる」 「簡単に言うなよ。俺はなれなかったんだから」 「なれなかったってなんで決めるのさ? わからないだろ?」  俺をよく誘うのは、業界の人にさりげなく紹介する為だろうと薄々気がついている。  そんな気を遣われてるのも、差を感じて苦しくなる。  見上げると少し口髭の生えたワイルドな横顔が見える。 昔は可愛かったのにな。ピンクの服着て、花冠なんかつけて。 プロポーズなんかもしましたよ。あああああ、黒歴史。 「ゆーちゃん。早く結婚して」 「男同士は結婚できません」 「外国に行ってもいいよ」 「絶対にありえない」 「じゃ、一緒に暮らそう」 「なんで俺が一緒に暮らさないといけないんだよ」 「俺と暮らしてたら、寝坊しないよ」 「うっ」 「食生活だって今よりよくなると思う」 「……なんでおまえが女じゃなかったんだろうな。それは本当に思うよ」 「ゆーちゃん」 「なんだよ!」 「大好き」  満面の微笑みをふりまきながら俺の手をぎゅっと握る。  こういう所は昔と変わってないから嫌になるぜ。まったく。 ---- [[機械化>15-279]] ----

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