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 トラウマ 
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  洋介は触れられた指先に反応して、コーヒーカップを落とした。 
 
  陶器の割れる音がして、黒い液体がフローリングの床に散らばった。 
 洋介は少年の服に汚れがないのを確認し、あわてて破片を片付ける。 
  片付けを手伝おうとした少年は 
 「いいから! 本当にいいから!」 
 と洋介に全身で拒否され、おとなしくソファに座りなおした。 
 
 「なあ、海人」 
 「あー?」 
 「お前の兄さんさ。俺の事嫌いなのかな」 
 「なんで?」 
 「この前も同じ事あったじゃん。俺が近寄るとビクビクしてるしさ」 
 「洋介は男が苦手だからな」 
 「男なのに?」 
 「男だからじゃない?」 
 「意味不明」 
 「わからなくていいよ」 
 「教えろよ」 
 「洋介はトラウマ持ちなの。はい、終わり終わり」 
 「なんだよー」 
  釈然としない様子で、少年は出されたチョコを口に放り込んだ。 
 「お兄さんそこらの女より色っぽいからなあ。男に襲われちゃったとか?」 
 「バーカ。おまえエロ雑誌の読み過ぎ」 
  海人は笑って少年にゲーム機のコントローラーを渡した。 
  すぐに少年は夢中になって、そんな話題が出たことも忘れたようだった。 
 
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-201 :2/2:2009/02/09(月) 13:34:31 ID:7BIVvRGE0
  少年が帰ると、テーブルの上の飲み終わったカップを海人はキッチンに運ぶ。 
 「コーヒー、サンキュ」 
 「あ……ああ。悪かったね。そこに置いておいて」 
 「俺が洗うよ」 
  海人が近寄ると洋介は一歩後ずさる。 
 「い……いいから」 
 「俺がそんなに怖い?」 
  海人は口の端を少し釣り上げた。 
 「あいつが洋介に嫌われてるんじゃないかって心配してたぜ。 
 それは違うって言っといたから。洋介はただのトラウマ持ちだって」 
 「海人!」 
 「なに? 大丈夫だよ。弟にレイプされたのが原因で、 
 男性恐怖症になりましたなんて言ってないしね」 
 「か……」 
 「言わないよ。言ったら洋介、俺と寝てくれなくなっちゃうもん」 
 「海人……。もうやめよう。もう俺は嫌だ」 
 「コレ後でいいよね。したくなっちゃった」 
  洋介の手首をつかんで、海人は自分の部屋に強引に連れて行く。 
 
  自分の上にのし掛かってくる体重を感じるたびに、洋介にフラッシュバックする昔の傷。 
 嫌悪を感じながら洋介は固く目を閉じた。 
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 [[陰間茶屋>15-209]]
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