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ポジ×ネガ ---- 「リュクサンブールかな?」 色彩の反転した異国の街並みを、矯めつ眇めつ眺める。 いつもの事ながら奇妙だとポジは思う。 同じ景色を見ていても、うつるものは真逆なのだ。 けれど、こうして彼を頼りに、自分の姿を容易く思い描くことができる。 「君は写真であって写真じゃない。写実とは違う、不思議な魅力がある。」 何の前振りもなくポジは言った。 ポジは良くも悪くもストレートな男だ。忌憚がない。 「自分に無いものだから惹かれるのかも知れないな、君に。」 「…俺はあんたが大嫌いだ。あんたの色は一々目に痛い。」 ネガはとっさにそう返し、ポジは随分嫌われちゃったなぁとぼやいた。 しかし声色には僅かに笑いが滲んでいる。 ネガはそれを黙って聞いていた。 率直なポジとは対照的に天邪鬼な性分だから、 口を開けば思いと裏腹な事を言ってしまうのが常だった。 本心を言えば、鮮やかに写し取られた記憶を美しいと思う。 その本音をストレートに伝えられるようにはならないだろうけど、 ポジにはきっと分かっている筈だと考えるのは、甘えだろうか。 表し方は逆でも、自分たちはあらゆる視点を共有しているのだから。 ----   [[乙女×乙女>2-529]] ----

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