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木×葉っぱ ---- おしべ、というのはみじめなものだと思う。 どんなに素晴らしい種を持っていても、実になれるのはめしべだけだ。 自分の種を受けた相手が実になっていく横で、寂しく枯れていかなければならない。 体が黄色くかさかさになり、落ちるのを一人待つだけ。 土に落ちれば、あとは腐るだけだ。 「・・・それでは」 だから俺は喜ぶべきなのかもしれない。自分が葉であったことを。 「ああ、じゃあな」 木に栄養を与えた後は、用済みになって落とされる。 葉もおしべも、用済みになれば木にとっては同じだ。 一生で幾度も出会うもののたった一つに過ぎない。 それでもまだ。 俺は足元に落ちたあいつとは違う。風に乗って、遠く離れていけるのだ。 木のように、次々と新たな命を生み出すあの人から。 この箱庭のような王宮から。 ----   [[豆×さや >28-819]] ----

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