「28-749」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

28-749」(2014/12/10 (水) 21:39:43) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

うたた寝をしているあいつが無防備すぎて・・・ ---- 「嘘だろ…」 あまりにも返事が返ってこないのは、今流れている映画の退屈さのせいだと思っていた。 それでも適当な感想を口にしながら、ふと寝転んでいる八坂の顔に目を向ければ、 とうの昔に睡魔に負けて寝入ってるようだった。 昼過ぎに有料チャンネルでライブを見たいと家に押しかけてきて、 朝4時から始まるみたいだから、それまでお前も起きてろよと勝手にいいつけて、 ゲームして、持ち寄られた夕食を食べて、適当にテレビを見て、場つなぎににさして興味のない映画を流して。 持ちかけたのは、全部こいつのはずだったのに。 「八坂くん最低ー、引くわー」 鼻をつまんでも、頬を押してみても、つまんでみても、一向に目を覚ます気配はない。 「何しても起きねーな、こいつ」 呆れに、わずかなくすぐったさを込めて笑う。 穏やかな寝息と、時計の音と、退屈な映画と。 そうして静かさを意識すると、無防備にさらされた首筋や、わずかに呼吸の漏れる口元に視線が向く。 ふと気を抜くと、どうにかしてしまいそうだった。 「ほんと、何しても起きねーよなぁー……」 いたずらがしたい。 気付かれたら、もうこんなふうに気楽に遊びに来るようなことも、俺の前で寝こけることもなくなるような。 何度も湧きあがる不埒なイメージを必死で振り払う。 でもせめて。 震える手が耳元をかすめたときに少し身じろいだけど、それでも起きる様子はなかった。 そっと、硬めの髪に触れる。明るい色が八坂に似合って、普段なら冗談でも触れる場所ではなかった。 頭を緩やかに撫ぜるたびに際限なく愛おしさが募っていく。 毛先をつまんで擦れば、まるで自分の心がそうされたかのようにさざめいた。 どうしようもなく幸せだ。だけど、同じくらい寂しい。 この時間や手に触れるもの全部、本当に、 「俺のもんだったらいいのにな……」 呟いて、気持ちをなんとか“友達”に切り替える。 何度か強くに体を揺すって、やっと八坂はだるそうに身を起こした。 「もう始まるぞこの野郎。いい夢見たか?」 「んー? どうしようもないヘタレの夢なら見たよ」 「さすがに次寝たときは起こさねえぞ」 「いいよ。別に」 ----   [[失恋してアル中一歩手前なあいつに片思い(別館) >28-779-1]] ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: