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10年以上の片想い
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二度目の高校の同窓会で、懐かしい奴に逢った。
二次会に盛り上がる連中を尻目に抜け出して居酒屋に入る。日本酒をちびちびと飲みながら話を聞いた。
あの先生まだ生きてたんだな、二組のあいつ結婚してたんだな、○○は老けたよな、親御さんは元気か…
「しかしもう三十手前か…早いねぇ」
二杯を空にした辺りでどちらからともなく溜息を吐く。
「でも皆元気みたいで安心したわ」
その笑顔と言葉に、泣きたくなった。
変わっていない、“変われない”俺の親友。
今でも忘れられない二年の夏。あの日からこいつの時は止まったままだ。
「部屋、来いよ」
アパートへの道をゆるゆる歩きながら考える。傍には親友がゆらゆら漂っている。
果たして、俺はこいつに言えるだろうか。
あの時からずっと胸に押し込んでいた想いを。あの時言えなかった言葉の続きを。
果たして、俺は聞けるだろうか。
とうとう分からなかった返事を。あの日こいつが言おうとしていた言葉の続きを。
黙ったままの親友と俺は、多分同じことを考えて同じ結末を望んでいる。そういう気がした。
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[[春なのに、お別れですか? >28-629]]
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