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優しい嘘 ---- 「ねぇセイジ、好きって言って?」 「ああ、大好きだよシュウ」 "俺"がそう答えるとシュウはまるで花が咲いたように笑う。 俺は表面上の笑顔を浮かべる、そうすればシュウが喜ぶから。 案の定シュウは更に笑みを深める、それを見れば俺は幸せになれる。 「なあシュウ」 「なに?セイジ」 「お前は"俺"のことが好きか」 「うん!当たり前だよセイジ!大好き!愛してる!」 そういって"俺"に抱きついてくるシュウ。 その温かみが俺には、恋しくて、愛おしくて。 そっとその背を"俺"は撫でる。 「セイジ、今日はやけにやさしいね」 「当然だろう?"俺"とお前は付き合っているんだから」 "俺"がそういったとき、俺の心がずくりと痛んだ。 シュウの笑顔を見ても癒されない、この傷だけは、永遠に。 なあシュウ、俺はいつまで"俺"でなければいけないんだ? 俺も"俺"もお前を愛している、だけどお前は"俺"にしか愛を向けない。 「なあ、シュウ、愛しているんだ」 「知ってるよ、セイジ」 「シュウ、俺の名前を呼んでくれ」 「……?セイジ?どうしたの?」 違う、"俺"の名前じゃない、俺の名前を呼んでほしかった。 でもそれは永遠になされることは無い。 シュウは夢を見ている、目がさめているのに見ている夢、"俺"とシュウが共にある夢。 もう、戻らないというのに、戻らない現実の夢のために、俺はセイイチではなく、セイジになろう、お前のために。 「俺はお前を愛している、シュウ」 ---- [[竜宮城 >27-919]] ----

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