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恐い話 ----  不器用な俺に対しても笑顔でいてくれる藤岡のことがすきだった。このことに嘘偽りはない。なぜなら、そう、藤岡の意外な一面を知っても気持ちは変わらなかったのだから。 「あー、萌えるー」 「藤岡、もういいだろ。そんな話をするためにいちいち呼ぶな」 「だって、こんな話できるのお前しかいないんだもん」 「もんって言うな。気持ち悪い」  図書室で藤岡を見つけた。たしか藤岡の前に座る男は藤岡の同室者兼幼なじみだったはずだ。仲は悪くないみたいだが、クラスが違うので一緒にいるのは珍しい。それに、藤岡のあの浮かれ具合。今まで見たことがない。  話が気になったので、本棚の後ろに隠れた。怪しいのは百も承知だ。本を読むふりをしてこっそり二人の会話を聞く。 「はあ、早くビーエルの良さに気づけばいいのに」 「恐いこと言うな。たたでさえ怪物を相手してんのに、そんなことになったら精神消耗してすぐハゲちまう」 「あ、ハゲコンプレックスの攻め、悪くないよ。卑屈になりながら受けにほだされていくとか」 「考えたくない」  呆れた同室者の言葉を最後に藤岡たちは教室に戻っていった。  俺は会話から飛び出す聞き慣れない言葉のオンパレードに混乱していた。ビーエルとか攻めとか受けとか、意味が分からない。  それに、藤岡の雰囲気が違うことも気になった。もしかしてあれが本当の藤岡なのか?  ビーエル、受け、攻めの意味を検索してみて理解した。藤岡は腐男子というものなのかもしれない。  思い返せば、友人たちのじゃれあいをガン見していた気がする。  それでも、俺はまだ藤岡が腐男子であることに確信を持てないでいた。俺の早とちりかもしれないからだ。  ちゃんと確かめたい。そう思った次の日、チャンスがおとずれた。先輩と藤岡が勉強会を開くというのだ。これに乗らない手はない。俺は参加を希望した。  勉強ははかどり、きりのいいところで藤岡が休憩を提案した。藤岡がジュースを取りに行っている間、先輩と二人きりになる。  藤岡が先輩になついていることが悔しくて、先輩には普段から素っ気なく接している。だから気まずい。むこうもきょろきょろと部屋を観察している。 「藤岡って、自慰しないのか?」  ぽつりとつぶやいた先輩の言葉にぎょっとした。何言ってんだこの人は。藤岡だって男なんだから自慰ぐらいするだろう……する、よな?  考えているうちに藤岡が戻ってきて、先輩が藤岡の性事情について聞き始めた。そしてなぜか体位について教えることになりつつある。いや、さすがにそれは見過ごせないだろ。  俺は先輩の襟首を引っ張った。 「なにすんだよ」 「藤岡を巻き込まないで下さい」  床につき倒す。足をつかんで左右に開いたら、その間に身体を滑り込ませた。 「ままま松田、なにして」 「藤岡、これが正常位だ」  藤岡を見ると、大きな目を見開いていて、キラキラと瞳を輝かせていた。  やっぱり、そうなのか? 更なる確信を得るために、俺は腰を振って先輩の股間にとんとんと当ててみた。布越しだというのに先輩は軽くパニックになっている。  バックが分からないという藤岡ーーそれも本当か分からないがーーに応えるため、俺は先輩をひっくり返して腰を持ち上げた。俺に向けて尻をつき出すことになる。 「バックは、こう」 「やめろおおお!」  さすがに恥ずかしいのか、先輩は逃げるように前へ這っていこうとする。冗談の延長線なのだからそこまで嫌がらなくても。  いらっとしかけたが、色白の耳が真っ赤になっていることに気づく。なんだ、意外に可愛いところもあるじゃないか。  気を良くした俺は先輩の上から覆い被さった。交尾するみたいになる。体に触れて気づく。この人、体温が高い。背中が少し汗ばんでいる。それに、なんかいい香りがするし。香水か?  襟首に鼻を近づけてくんくんと嗅いでみる。 「んん、ちょっと、あ、松田、やめろ。くすぐったい」 「先輩、香水つけてます?」  聞くと、腕に顔を埋めたまま首を横にふった。なるほど。じゃあ、体臭か洗剤の香りだな。  香りに誘われて背中にも鼻を当て、匂いを嗅ぐ。先輩はぴくんと小さく体を跳ねさせ、身動ぎをし始めた。   あの、尻が股間にぐりぐり擦れてるんですけど。この人、加虐心を煽るの上手くないか? 「とりあえず……こんな感じだ」  先輩から体を離して、藤岡を見た。無表情だった。真剣にこちらを見ている。いや、その顔まじで恐いから。 「藤岡」  声をかけると、はっとして、いつものにっこり顔に戻った。 「あ、うん。すごく分かりやすかったよ。なんか、バックってすごくえっちだね。ドキドキしちゃった」  あの無表情がドキドキしている人間の顔なのかは甚だ疑問だが、とりあえず藤岡が腐男子であることは確定した気がする。  それでも、藤岡なことを嫌う気にはならなかった。 「先輩、大丈夫ですか」  床に突っ伏している先輩は、魂が抜けたようだった。 「オボエテロヨ」 「それ、負け犬が去っていくときの捨て台詞ですよね」 「後輩のくせに……可愛くねえ」 「そうですか。でも先輩は先輩のくせに面白かったですよ」 「馬鹿にするな。もう二度とこんなことするなよ」 「え、先輩、騎乗位が残ってます!」  すかさず藤岡が割り込んできた。さすがというべきか、今だからわかるがちゃっかりしている。  返事は返ってこなかった。ただ、うううと唸り声を出している。しばらくの間、先輩は床に倒れていたので、藤岡と目が合うたびに苦笑いした。  帰りにて、上機嫌な藤岡の部屋を出たあと、魂が戻ってきた様子の先輩は俺に言った。 「きょっ、今日のことは、他のやつに言うなよ!」 「はい。そんなのわざわざ言いません」 「じゃあ、約束しろ」 「分かりました。ただし、先輩も約束してくださいよ」 「約束?」  怪訝な顔をする先輩の腕を引っ張って、耳もとに唇をよせた。俺の好きな香りが鼻をくすぐる。 「藤岡のために、ちゃんと上、のって下さいね」 ---- [[Q.あなたは人を殺したことがありますか?>27-489]] ----
恐い話 ---- 480です。最初、松田視点で書いていたので一応投下します。更に下品&恐い話からかけ離れてますがご了承下さい。  不器用な俺に対しても笑顔でいてくれる藤岡のことがすきだった。このことに嘘偽りはない。なぜなら、そう、藤岡の意外な一面を知っても気持ちは変わらなかったのだから。 「あー、萌えるー」 「藤岡、もういいだろ。そんな話をするためにいちいち呼ぶな」 「だって、こんな話できるのお前しかいないんだもん」 「もんって言うな。気持ち悪い」  図書室で藤岡を見つけた。たしか藤岡の前に座る男は藤岡の同室者兼幼なじみだったはずだ。仲は悪くないみたいだが、クラスが違うので一緒にいるのは珍しい。それに、藤岡のあの浮かれ具合。今まで見たことがない。  話が気になったので、本棚の後ろに隠れた。怪しいのは百も承知だ。本を読むふりをしてこっそり二人の会話を聞く。 「はあ、早くビーエルの良さに気づけばいいのに」 「恐いこと言うな。たたでさえ怪物を相手してんのに、そんなことになったら精神消耗してすぐハゲちまう」 「あ、ハゲコンプレックスの攻め、悪くないよ。卑屈になりながら受けにほだされていくとか」 「考えたくない」  呆れた同室者の言葉を最後に藤岡たちは教室に戻っていった。  俺は会話から飛び出す聞き慣れない言葉のオンパレードに混乱していた。ビーエルとか攻めとか受けとか、意味が分からない。  それに、藤岡の雰囲気が違うことも気になった。もしかしてあれが本当の藤岡なのか?  ビーエル、受け、攻めの意味を検索してみて理解した。藤岡は腐男子というものなのかもしれない。  思い返せば、友人たちのじゃれあいをガン見していた気がする。  それでも、俺はまだ藤岡が腐男子であることに確信を持てないでいた。俺の早とちりかもしれないからだ。  ちゃんと確かめたい。そう思った次の日、チャンスがおとずれた。先輩と藤岡が勉強会を開くというのだ。これに乗らない手はない。俺は参加を希望した。  勉強ははかどり、きりのいいところで藤岡が休憩を提案した。藤岡がジュースを取りに行っている間、先輩と二人きりになる。  藤岡が先輩になついていることが悔しくて、先輩には普段から素っ気なく接している。だから気まずい。むこうもきょろきょろと部屋を観察している。 「藤岡って、自慰しないのか?」  ぽつりとつぶやいた先輩の言葉にぎょっとした。何言ってんだこの人は。藤岡だって男なんだから自慰ぐらいするだろう……する、よな?  考えているうちに藤岡が戻ってきて、先輩が藤岡の性事情について聞き始めた。そしてなぜか体位について教えることになりつつある。いや、さすがにそれは見過ごせないだろ。  俺は先輩の襟首を引っ張った。 「なにすんだよ」 「藤岡を巻き込まないで下さい」  床につき倒す。足をつかんで左右に開いたら、その間に身体を滑り込ませた。 「ままま松田、なにして」 「藤岡、これが正常位だ」  藤岡を見ると、大きな目を見開いていて、キラキラと瞳を輝かせていた。  やっぱり、そうなのか? 更なる確信を得るために、俺は腰を振って先輩の股間にとんとんと当ててみた。布越しだというのに先輩は軽くパニックになっている。  バックが分からないという藤岡ーーそれも本当か分からないがーーに応えるため、俺は先輩をひっくり返して腰を持ち上げた。俺に向けて尻をつき出すことになる。 「バックは、こう」 「やめろおおお!」  さすがに恥ずかしいのか、先輩は逃げるように前へ這っていこうとする。冗談の延長線なのだからそこまで嫌がらなくても。  いらっとしかけたが、色白の耳が真っ赤になっていることに気づく。なんだ、意外に可愛いところもあるじゃないか。  気を良くした俺は先輩の上から覆い被さった。交尾するみたいになる。体に触れて気づく。この人、体温が高い。背中が少し汗ばんでいる。それに、なんかいい香りがするし。香水か?  襟首に鼻を近づけてくんくんと嗅いでみる。 「んん、ちょっと、あ、松田、やめろ。くすぐったい」 「先輩、香水つけてます?」  聞くと、腕に顔を埋めたまま首を横にふった。なるほど。じゃあ、体臭か洗剤の香りだな。  香りに誘われて背中にも鼻を当て、匂いを嗅ぐ。先輩はぴくんと小さく体を跳ねさせ、身動ぎをし始めた。   あの、尻が股間にぐりぐり擦れてるんですけど。この人、加虐心を煽るの上手くないか? 「とりあえず……こんな感じだ」  先輩から体を離して、藤岡を見た。無表情だった。真剣にこちらを見ている。いや、その顔まじで恐いから。 「藤岡」  声をかけると、はっとして、いつものにっこり顔に戻った。 「あ、うん。すごく分かりやすかったよ。なんか、バックってすごくえっちだね。ドキドキしちゃった」  あの無表情がドキドキしている人間の顔なのかは甚だ疑問だが、とりあえず藤岡が腐男子であることは確定した気がする。  それでも、藤岡なことを嫌う気にはならなかった。 「先輩、大丈夫ですか」  床に突っ伏している先輩は、魂が抜けたようだった。 「オボエテロヨ」 「それ、負け犬が去っていくときの捨て台詞ですよね」 「後輩のくせに……可愛くねえ」 「そうですか。でも先輩は先輩のくせに面白かったですよ」 「馬鹿にするな。もう二度とこんなことするなよ」 「え、先輩、騎乗位が残ってます!」  すかさず藤岡が割り込んできた。さすがというべきか、今だからわかるがちゃっかりしている。  返事は返ってこなかった。ただ、うううと唸り声を出している。しばらくの間、先輩は床に倒れていたので、藤岡と目が合うたびに苦笑いした。  帰りにて、上機嫌な藤岡の部屋を出たあと、魂が戻ってきた様子の先輩は俺に言った。 「きょっ、今日のことは、他のやつに言うなよ!」 「はい。そんなのわざわざ言いません」 「じゃあ、約束しろ」 「分かりました。ただし、先輩も約束してくださいよ」 「約束?」  怪訝な顔をする先輩の腕を引っ張って、耳もとに唇をよせた。俺の好きな香りが鼻をくすぐる。 「藤岡のために、ちゃんと上、のって下さいね」 ---- [[Q.あなたは人を殺したことがありますか?>27-489]] ----

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