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親友以上になりたい二人
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「…退いてくんない?」
「やだね」
酒に酔った勢いか、ユウジが唐突にマウントポジションをとってきた。
ユウジとはお互いを親友と認め合った中学からの付き合いだ。ぐだぐだと歳を取る内に俺達は大学生になり、こうしてどちらかの家で酒盛りをすることも増えた。
今日は珍しくユウジから誘ってきたもんだから、何かあったのかとは思っていたが。どうしてこうなった。
ユウジは俺の上に乗っかったまま動かない。心なしか表情も険しい。
「ユウジ、降りて」
「…やだ」
「重いから…」
嘘。本当は、重いから退いてほしい訳じゃない。その証拠に心臓が破裂しそうなくらいドキドキしてる。
俺はユウジの事が好きだ。勿論、LikeじゃなくてLoveの方で。
でもずっとこうして『親友』同士でやってきたのに、今更関係を崩したくない。
それにきっとユウジは俺のことをただの『親友』だと思ってるから。だから、俺は俺の想いを言わない。
「ケイはさぁ」
「…何」
「ケイは、俺のことどう思ってんの?」
しかめっ面のままユウジが問う。いきなりの質問に俺は少々面喰ってしまう。
「どうって、まあ大事な親友だけど。てかいいからさっさと―「それだけ?」
俺の言葉を遮ったユウジは、何故か泣きそうな顔をしていた。
「それだけって…」
「俺は、」
「俺は、ケイと親友以上になりたいよ」
酔いも今の状況も何もかも、吹っ飛んでいくような気がした。
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[[帰りたい>28-259]]
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